2017年9月25日

演出家のイメージを共有するということ

今まで撮影した映像の絵コンテは全部保存してあります。おそらく1,000以上はあるでしょうね。

 

これらの絵コンテは、すべて僕がつくってきたものです。
演出家の頭の中には、ワンカットずつどういう絵を表現するのか、明確なイメージがあるんですね。

 

しかし、カメラマンなど他のスタッフたちとは、最初からそこまで詳細なイメージが共有できているわけではありません。そのイメージのギャップを埋めるために、事前の打ち合わせが大切なのです。

 

そのときに必要なのが絵コンテです。

 

例えば、映像の世界には“パン”という、固定したカメラの向きを左右に振って撮影する技法がありますが、パンひとつをとっても、早くカメラを回すのか遅くカメラを回すのかで、見る側に与える印象は大きく変わってきます。

 

僕はこのイメージを伝えるのによく、音楽用語の8ビートや16ビートという表現をよく使います。

 

例えば、対象が若い人向けの映像を作るのだったら、ワンカット1秒もかからないようなテンポの早い映像を使いますし、株主総会の中継動画のように年齢層が高い人たちを対象とするのなら、ゆっくりとカメラを回します。

 

このように、カメラの撮影技法ひとつでも、映像を見る対象によって使い分けることがよくあります。それをどのように変えるかというと、それは演出家の頭の中にしかありません。
ですから、演出家はスタッフ全員とイメージを共有する必要があるのです。

 

大手の広告代理店ですと、クライアントの要望を聞く立場の人と演出家が別の人という場合があります。
アートディレクターやクリエイティブディレクターといった代理店の人たちが、最初にクライアントの要望をインプットして、その情報を元に演出家がアウトプットするんです。

 

一般的に、世間に名の知れているような有名な演出家ですと、ディレクターの聞いたクライアントの要望を100%以上に引き出すこともできますが、そういった演出家は一握りのみです。
通常はよほど、両者のイメージが完全に共有できていないと、クライアントの望むイメージと違った映像がアウトプットされることもあります。

 

アーツテックの場合は、基本的に代理店を挟まない方法をとっているので、ディレクターと演出家を別の人が担当することはありません。
僕が両方やっています。なのでブレることはないと思っています。

 

世の中にたくさんいる演出家全員が、同じようにできているのかは分かりませんが、クライアントの要望を100%以上引き出す力を持っている人に、仕事が集まってくるのではないかと思っています。