悪しき採用動画の現状 〜その傾向と対策〜
2020.10.30 (Fri)
2020.10.30 (Fri)
悪しき採用動画の現状
〜その傾向と対策〜
巷に溢れかえる採用動画。
しかし、そのクオリティを見ると、決して高いとは言えません。
では、採用動画には、何が必要なのか。
求職者に見てもらえる採用動画は、どのように作れば良いのか。
弊社の事例を交えながら、採用動画のあるべき姿を探ってみました。
現在、いわゆる「採用屋さん」と呼ばれる会社が、採用動画の世界を席巻していると言っても過言ではないでしょう。
「採用屋さん」とは、採用のコンテンツを専門に作る広告会社のことです。
「採用屋さん」は、リクルートサイトを中心に、動画制作会社とタッグを組み、採用動画も作っています。
彼らはお客さんに「サイトだけではなく、動画もつけて○○万円でいかがでしょうか」というように、リクルートサイトと動画制作を、セットで売り込む戦略で営業をかけています。
こうした会社が雨後の竹の子のように出てくると、当然、価格競争は激化していきます。
当然、動画は低コストでなければなりません。
こうした現状で「採用屋さん」が生み出したのは、採用動画を、既存のひな形を用いて作るという方法です。
例えば、
Aタイプ 若手社員が喋っているだけ。
Bタイプ そこへ働いている姿をインサートする。
Cタイプ 一日の社員の仕事の流れを朝から晩まで取材したもの。
以上のような、既に用意されたひな形に、依頼された会社の映像をはめこみ、採用動画を制作するのです。
このような経緯により、採用動画の世界は、見るに耐えない、ワンパターンかつ退屈なコンテンツで溢れかえるようになってしまったのです。
私たちはよく考えます。
こういう方式で作った動画には、実際にどれほどの効果があるのでしょうか。
私たちが関わった会社様の元・就活生たちに話を聞くと、案の定、「見ていてつらかった」「動画はよく覚えていない」との返答でした。(弊社制作の作品ではありません)
もし、テレビ番組にこのような、ひな型があったとしたら、あっという間に視聴率は低迷し、打ち切りになると予想できます。
たとえば人気番組「世界の車窓から」には、ひな形があるかのように思えるかも知れませんが、これらの動画とは全く異なるモノです。
「採用屋さん」の出現によって、採用動画のクオリティは、地の底まで落ちていったのです。
どんなに会社の理念が立派であろうとも、採用動画が、いわゆる「ダサい」ものであれば、学生は受け入れてくれません。
そこに写っているモノが、その会社のすべてだと感じてしまう。それでは、あまりにも残念です。
映画はもちろん、テレビ番組、TV—CMは、プロが関わる映像です。
プロの作品である以上、視聴者に見てもらうための最大限の工夫がされています。
手を抜くことはあり得ないし、そんなことをしたらどうなるかは想像できると思います。
しかし、採用動画の世界はどうでしょうか。
余所の悪口を言うつもりでは毛頭ありませんが、見るに堪えないものがほとんどという現状。
ただカタログをなぞり、概要を説明するだけで、見せる工夫を何もしていないような代物。
そして、最も安直なのが、ただ若手にインタビューしただけのもの。
インタビューにも何の方向性もなく、ただ会社の一日の流れや、やりがいみたいなものを、のべつ幕なしに語らせているだけの、何の感動もない動画など、TVの世界ではもちろんあり得ません。
このようなモノを無理やり見せられるときの苦痛は、想像を絶するものがあると推察します。
私なら席を立ちます。
さらにひどいものになると、社長が平気で五分以上も喋ったりしています。
昔、格式あるホテルで披露宴の配膳のバイトをしていたとき、乾杯時、皆を立たせて、ひたすらに自分の会社の自慢を5分以上している御仁がたくさんいらっしゃいました。
昭和の良き時代ならともかく、会社説明会で、学生にそのような苦痛を与えてはいけません。
アーツテックが一番大事にしているのは、最後まで楽しんで見てもらえるもの、受け入れられるもの、夢を感じてもらえる動画・映像を制作することです。
すなわち、「見てもらうための工夫」と「視聴者を惹き付ける演出」が大事なのです。
じっくりと取材をして、それぞれの会社が独自に持っている理念や想いを、ドラマチックに描いていく。
それがアーツテック流の採用動画です。
動画とは、すなわち「演出」です。
インタビュー動画の場合、
心に響かない言葉を、3分も5分も聞かされ続けていると、見ている側の集中力も散漫になりますし、苦痛以外の何物でもなくなります。
取材対象の、力のある言葉を引き出すインタビュー術がなければいけないのです。
それが、「演出」です。
採用動画を見る時、就活生は、自分の3年後、5年後を見ています。
いかにこの会社は自分たちの力を見出し、自分たちを育ててくれるのか。
それを明確に誠実に提示することが、採用動画のポイントとなります。
しかし、それをただナレーションでそのまま伝えてもダメ。
3年後、5年後を想起してもらえるような演出が無ければいけません。
就活生の目はシビアです。なぜなら、自分の将来を真剣に考えているときだから。
手抜きの動画・映像はすぐに見破られます。
技術系など、喋りが決して上手ではない方々が中心となる職種の場合、『インタビュー動画は大丈夫ですか』という相談を受けるときがあります。
『ぜんぜん大丈夫です』といつもお答えしています。
能弁ではない方の言葉は、相手に響かないかと言うと、決してそんなことはありません。
営業マンを例にとりましょう。
口八丁の、いわゆる「営業的」な人より、トークが上手じゃなくても、誠実さが伝わる方の方が、営業成績は良いケースが多いと聞きます。
不器用でも、本音で話す言葉は、相手に刺さるのです。
女性の場合、チャラい男の「愛してるよ」よりも、不器用な男性の「好きです」のほうが、胸に刺さりませんか。(譬えが悪くてすみません)
相手に届く、響く言葉を、上手く引き出してあげるなり、誘導してあげればいいのです。
これも卓越したプロ技が必要。
素人まがいの採用動画では、このような技は難しいのではないでしょうか。
ひとつの事例がありますので、こちらをご覧ください。
https://www.artstech.net/works/2632
東京水道株式会社は、日本最大級のトータルサービス会社です。
東京都の政策連携団体として、水道局と共に東京の水道事業運営を担っています。
この採用動画に出演している若手社員の方々は、技術系の方々です。
それだけに彼らの一言ひとことには、誠実さと重みがあります。
彼らの思いが詰まった言葉と、スタイリッシュな映像、音楽によって構成されたこの動画は、高い評価を得ることができました。
https://www.artstech.net/works/840
こちらも、技術系の会社様。
あまり能弁ではない方が多いように見受けられました。
でも、この方々の言葉は、非常に胸に響くのです。
彼らが追求してきた技術、培ってきたノウハウ、その誇り。
こうしたモノが根底にあれば、相手に響かないことは決してない事を実証した作品だと思っています。
繰り返しますが、採用動画を決して「我慢して見なければならない退屈なもの」にしてはいけません。
ありきたりの形式に沿っていたのでは、単なる自己満足の動画になってしまいます。
そのためには、視聴者側の目線に立ち、この動画は面白いか、退屈になっていないか、と厳しく問うことが必要です。
企業が作る動画というのは、結局のところ、自社の自画自賛です。
それが過ぎると、かえって嫌悪感を与えてしまうことさえあるでしょう。
それをいかにスマートに誠実に、対象に届けられるか。
その中で、いかにすれば、視聴者に楽しんで見てもらえるのか。
それらを、きちんと計算し抜いた上で、制作を行っていかなければならないのです。
前述したように、求職者(新卒者)が採用動画を見るということは、3年後、5年後の自分の姿を投影しながら見ることでもあります。
クオリティの高い採用動画ならば、視聴者に、その会社で輝いている将来の自分を疑似体験してもらうことができます。
そう、採用動画は、
「この会社はすごい!」「ぜひ自分もここで一緒に働きたい!」と、
意思決定の最も強力な武器にすることも可能なのです。
「ウチの会社には、就活生の心に響かせるだけのサービスも社風もない・・・」と考えてしまう企業の方もいらっしゃると思いますが、そんなことはありません。
それは、「灯台下暗し」だと思います。
会社の中にいると、自社の魅力が見えていないことがほとんどなのです。
どの会社にも、必ず、誇るべきオンリーワンがあり、就活生に「すごいな」「素敵だな」と思わせる部分は、絶対にあるのです。
私たちはその良さを、外の立場から徹底的な取材をして、見出し、輝かせ、伝えていくことを大切にしてきました。
そして、その会社にしかない魅力を主軸に立てた構成、制作を行っています。
私たちは、
「ウチはこんなに良い社風だったの!?」
「よくよく考えて見ればウチってこんな会社だったよね!」と仰ってもらえることを誇りにしています。
徹底した取材から、オンリーワンの魅力を見出し、オンリーワンの動画・映像を提供すること。
それが、「目に見える効果」を生み出す採用動画の根本原則であると思うのです。
優れた人材を獲得するには、ありとあらゆる戦略が必要。
その中で採用動画が持つ比重は、決して低いものではありません。
採用動画も徹底的に工夫するべきです。
学生世代は、いわば「動画世代」。
動画こそ、最も訴求できるコンテンツであることは論をまちません。
アーツテックは、採用動画というジャンルにおいても、オンリーワンのノウハウを持つ動画・映像制作会社と自負しています。
大小関わらず、様々な職種のクライアント様の採用活動に貢献してまいりました。
ノウハウは積み重ねてきましたが、私たちは「ひな形」で動画づくりを行うことはありません。
「産みの苦しみ」を味わいながらも、常に、世界でたった一つのオンリーワンの映像づくりに挑戦していきます。
日本屈指のクリエイター、酒井靖之監督が
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