“声の制作革命” プロの現場で使える!実践AIナレーション
2025.12.31 (Wed)
2025.12.31 (Wed)

Contents
動画・映像制作は、過去10年で大きなフェーズ転換を経験してきました。
フルサイズミラーレスの普及、編集ソフトの高度化、SNSの縦型フォーマット、短尺動画文化の定着──
そして今、制作現場を根本から揺り動かしているのが、AI(生成AI)による映像制作の自動化と高速化です。
特に2023〜2025年は、次の3つが急成長しました。
1.画像生成AI(nano banana pro、DALLE3 など)
背景・人物・ロケーション画像を“撮影せず”に作れる時代へ。
2.動画生成AI(Sora2 / Runway など)
企画書段階で映像のイメージを“すぐに動かせる”プロトタイプ化が可能に。
それだけではなく、実際の編集に組み込むレベルまで進化。
3.音声AI(AIナレーション / AI声優)
文章がそのまま“声”になる。しかも人間の感情を持ち、演技もできるレベルへ。
従来は「撮影・編集・テロップ・BGM・ナレーション」という工程が必須でしたが、
これからの制作では「文章 → 映像と声が自動で生まれる」という極端な短縮ルートが一般化していきます。
この進化はクリエイターの仕事を奪うものではなく、むしろ
“撮影や演出、ストーリー”という本質に時間を取り戻すための革命です。
その中でも、最も即効性があり、費用対効果が高く、現場の困りごとをダイレクトに解決しているのが
AIナレーション(AI音声生成)です。
かつてナレーション収録といえば、スタジオ手配・声優キャスティング・スケジュール調整・再収録の追加費用……膨大な時間とコストが必要でした。
しかし現在、多くの現場が「AIでナレーションを作る」ことを当たり前にし始めています。
本コラムでは、実際のプロ制作現場で使えるレベルのAIナレーション活用術を、初心者でも分かりやすく、具体的に解説します。
企業PR動画、YouTube運用、採用動画、EC用商品紹介動画など、今すぐあなたの制作に役立つ知見をまとめました。
近年、動画視聴のスタイルは、通勤通学中の“ながら視聴”だけでなく、「お気に入りの動画を家でじっくり味わう」視聴へと広がってきています。
その変化に伴い、音声をONで視聴する層が確実に増えているのが現状です。
TikTok・Instagramリール・YouTubeショート・縦型広告などでは、スマホ上で次々とスワイプされます。
その中で手を止めてもらうには、一瞬で耳をつかむ「声」や「音」の力が不可欠です。
「サムネイルが目を止める」
「冒頭の声が、視聴を続けさせる」
近年は、こうした構造がより強くなっています。
しかし、制作現場では次のような課題が頻出しています。
これらを根本的に解決するのが AIナレーションです。
テキストを入力するだけで、自然かつ感情表現のある“プロ風”音声を瞬時に生成できます。
「声を入れたいが、コストも時間もかけられない」という矛盾を埋める存在が、AIナレーションなのです。
かつてのロボットのような合成音声では、プロの現場で使うには限界がありました。
イントネーションがぎこちなく、感情も感じられず、「とりあえず意味は分かるけれど、視聴体験としては物足りない」というレベルだったと思います。
しかし、2024年以降のAI音声は、以下の点で劇的進化を遂げています。
もはやAI音声は、人間のナレーターの代替ではありません。
制作スピードとクオリティを同時に押し上げる“武器”となっています。
ここからは、実際の現場でもよく名前が挙がる
AIナレーション(AI音声生成・読み上げ)ソフト・ツールのおすすめ5選を紹介します。
音読さん
ブラウザで即使える日本語音声読み上げサービス(無料・商用利用OK)。
現場でも、数年前から仮ナレーションを入れる際によく使用しているサービスです。
表現力は、上記の専用AI音声ツールと比べると高くはありません。しかし、特に外国語ナレーションの尺取りにおいては非常に便利です。「まずは長さを合わせたい」「雰囲気だけ確認したい」といったプリプロ段階のワークフローを支えてくれる、頼もしい相棒と言えるでしょう。
では、実際の現場において、AIナレーションをどのように組み込むべきなのでしょうか。
制作現場では、仮ナレーションとして使用するケースが最も多いのが現状です。
撮影前の絵コンテやオフライン編集の段階で、AIナレーションを入れておくことで、クライアントとの認識合わせが格段にスムーズになります。
ここでは、例として「音読さん」を使った基本的なワークフローを紹介します。


まず、画面下部にある
言語・音声(キャラクター)・速度・声の高低を選択します。


次に、画面上部の四角い枠内に、読んでもらいたいナレーション台本を記述します。
「テロップ用の文章」ではなく、実際に人が話すように、句読点や改行も意識した文章にしておくと、後の調整が楽になります。
ここまでできれば、準備は完了です。

読み上げボタンを押せば、自動的にナレーションが生成されます。
生成された音声を動画に当ててみて、イメージと違う場合は、速度や高低、キャラクターを選び直してみてください。
今回は例として、英語ナレーションの速度と高低の違いで、2タイプ作ってみたとします。
音声1(速度:0.8、高低:0)→ 標準的で聞き取りやすく、汎用的な印象。
音声2(速度:0.5、高低:-4.8)
「どちらが伝えたい世界観に近いか?」を、制作者・クライアント・チームで聴き比べることで、
完成形のイメージを共有しやすくなります。
完成版では、予算やブランドの方針に応じて
AIの分野は日々進化していますが、現時点ではまだ“万能”ではありません。
そして、AIを使いこなせるかどうかは、結局のところそれを扱う人間の力量にかかっています。
特に問われるのが、ディレクション能力です。
この能力が高い制作者ほど、AIナレーションを強力な武器に変えることができます。
よくある悩みとしては、次のようなものがあります。
これらへの対策として、次のような工夫を行っています。
こうした”台本づくりとディレクションの工夫”によって、AIナレーションの仕上がりは驚くほど変わってきます。
結局、作品の良し悪しを決めるのは、ツールそのものではなく、
ディレクターの腕と、作品に向き合う姿勢なのだと感じています。
本物のナレーターさんに読んでもらう時と、本質的には何も変わりません。
制作現場における“最大の敵”は、ムダな時間です。
特に企業案件では、スピードとクオリティの両立が常に求められます。
ナレーションに限らず、AIはその「ムダな時間」を極力少なくしてくれる、非常に強力なパートナーです。
AIナレーションの大きな強みは、次の3点です。
1,1行の変更を即反映できる
再収録のためにナレーターのスケジュールを押さえる必要がなく、撮影後の細かな修正にも柔軟に対応できます。
2,多言語展開がスピーディ
同じ台本から、英語版・中国語版・ベトナム語版などを短時間で生成でき、海外向け施策にも素早く乗り出せます。
3,ABテストが簡単
トーンや速度を変えた複数パターンのナレーションを用意し、視聴データを見ながら「どの声が最も届いたか」を検証できます。
この3点が、制作現場に潜む“ムダ”を大きく削減してくれます。
そして、浮いた時間は「より良い演出」「より良いアイデア」「より丁寧な編集」へと投資できるようになります。
その結果として、制作者の価値も作品の価値も、無理なく引き上げていくことができるのです。
AIナレーションは、単なる音声の自動化ツールでも、単なる時短ツールでもありません。
うまく活用すれば、
そんな新しい“制作インフラ”になりつつあります。
AIを取り入れる目的は、「人間の仕事を奪うこと」ではなく、「今までできなかったレベルのクオリティとスピードを両立させること」にあります。
あなたの次の動画は、AIナレーションを導入することで、これまでとは違う表現や、これまで以上の説得力を持った作品に変わるかもしれません。
まずは、仮ナレーションからでも構いません。
小さく試し、手触りを確かめ、現場に合う形で取り入れていくこと。
それが、「声の制作革命」を味方につける、いちばん確実な一歩だと感じています。
筆者 アーツテックスタッフ伊藤
<関連コラム>