劇的スピードアップ! 動画編集テクニックをご紹介
2021.03.16 (Tue)
2021.03.16 (Tue)
「スピードアップ ムービー編集テクニック」
YouTubeやTikTokなどの普及により、動画編集の需要は爆発的に増加しています。
「たくさんの人に見てもらえて、シェアしてもらえるような動画をつくりたい」
誰もがそう思うようになってきました。
また、このコロナ禍において、自宅で過ごす時間が増え、趣味で動画編集をする人も増えているように思います。
しかし、動画編集をはじめたけれど、1つの作品を編集するのに、ものすごい時間がかかってしまう・・・。
思い通りにいかない・・。調べているうちに日が暮れた・・・。
「自分で編集してYouTubeにアップしたいけど、自分には無理かな」
とあきらめかけているあなた、これを読めば編集スピードとテクニック共にアップすること間違いなしです。
ということで今回は、スピードアップ ムービー編集テクニックをご紹介します。
Contents
さて、動画編集をはじめようとしても、いったいどの編集ソフトを使えばいいか迷ってしまいますね。
自分に合ったソフトを見つけることが、短時間で思い通りに編集するための第一歩です。
2017年まで、プロのオフライン編集の現場で主流となっていたのが、Macが提供していたFinalcut pro。
レンダリングに時間がかかるという難点もあったのですが、カット編集のやり易さではピカイチのソフトでした。
しかし、2017年Finalcutユーザーにとって最悪のニュースが流れます。
当時最新のFinalcut ver.7が、新しいバーションのMacOSでは起動しないという内容でした。
つまり、古いMacを使い続けなければ、Finalcutは使えない。
これにより、Finalcutは、プロの現場からだんだんと消滅していきました。
それから時を経て、今や、映像業界でスタンダードとなっているのが、AdobeのPremiere Pro。
プロのエディターが必要とするすべてのツールを備えています。
ただ、我々プロの現場からの正直な感想としては、
「無駄な機能が多すぎる」
「レイアウトがコロコロ変わって使いづらい」
「ボタン一発でクリップを削除できるので、知らぬ間に素材が消えている」
など、いろいろ言いたいことはあります。
今後のバージョンアップに期待しているというところです。
ということで、今回はPremiere Proを使った「スピードアップ ムービー編集テクニック」をご紹介します。
編集スピードアップの基本は、キー操作です。
マウスを使ってチョコチョコやっていては、時間がかかる一方です。
編集に必要なツールをキーに割り当てることで、サクサクと進めることができます。
[ a ]を選択ツールに割り当てる。
[ b ]をカットツールに割り当てる。
[ t ]をトラックの前方選択ツールに割り当てる。
[ l ]を再生、「k」をストップ、「j」を逆再生。
[ i ]をイン点、
[ o ]をアウト点、「F10」にインサート、「F11」に上書きを割り当てます。
まずこれだけやれば、カット編集はあっという間。
プロの現場では、動画素材を再生しながら、使い所をリアルタイムに決めていきます。
ディレクターの指示のもと、合図に合わせ、イン点、アウト点を決め、編集シーケンスへインサートしていきます。
手順はこんな感じです。
動画再生 [ j ]
ディレクターの指示(指パッチンなど)でイン点を打つ [ i ]
その流れで、ディレクターの指示(指パッチンなど)でアウト点を打つ [ o ]
インサート [ F10 ]
この4つの動作をどれだけミスなく、素早くできるかが、編集全体のスピードアップにつながります。
さらに効率的にとお考えの方にオススメなのが「リップルトリミング」です。
[ Q ] [ W ] [ E ] に以下を登録します。
Q:前の編集ポイントを、再生ヘッドまでリップルトリミング。
W:編集点を追加。
E:次の編集ポイントを、再生ヘッドまでリップルトリミング。
「リップルトリミング」は、動画のいらない部分をカットしつつ、空いたスペースを詰めてくれる優れものです。
動画の後ろを切りたい時は、Eキーでトリミング。
右側に次の動画が配置してあっても、勝手に移動して、隙間を詰めてくれます。
「編集点を追加」は、レーザーツールを選択しなくても勝手に動画を切ってくれる機能です。
これでボタン操作が一つ減りますね。
これらのショートカットは、スピードアップ編集テクニックの伝家の宝刀です。
なにはともあれ、まずは、ショートカットキーを登録して、スピードアップの準備をしてください。
編集作業のスピードアップのための便利な機能として、属性のコピーがあります。
例えば、カラーグレーディングが完了したクリップがあり、その横に同じグレーディングを必要とするクリップがあるとします。
その場合、属性をコピーしたいクリップを [ Cmd + C ] でコピー、
同じ属性をつけたいクリップに [ Cmd + Option + V ]で属性をペースト。
「属性を貼り付け」タブが開き、コピーしたクリップの属性を貼り付けできます。
クリップの速度を変更する場合も、「速度/持続時間」エフェクトを適用する必要はありません。
[ 右クリック > クリップのキーフレームの表示 > 時間のリマップ > スピード ]
で、タイムライン上でクリップ毎にスピード可変が可能です。
次にスピードアップに役立つ機能を紹介していきます。
調整レイヤーはタイムライン全体に、エフェクトを適用する場合などに使います。
例えば、タイムラインの最上部に調整レイヤーを追加し、そこへLUT(ルックアップテーブル:映像の色やトーンを決める情報)を追加します。するとLUTは調整レイヤーより下のすべてのレイヤーに適用されます。
ブラックビデオは、黒の背景が必要なクリップの下に配置します。
映像用語ではブラックバースト。
シンク切れを起こさないように、シーケンス上の空白部分には必ず配置しましょう。
TV放送用の編集の場合は必須です。
タイムラインに配置したオーディオの音量を調整する場合は、オーディオゲインを使います。
クリップをハイライトして、オーディオゲインを選択。適正音量に調整します。
マスク機能を使えば、映像の一部に思い通りの効果を加えることがきでます。
例えば人物の顔のアンダー部分だけを明るく上げ、背景の色はそのままにしたい場合は、不透明度のペンツールを使用してマスクを作成します。
目的の領域に円を描き、マスクを作成。
オリジナルクリップを複製しマスクされたクリップの下に配置します。
Premiereにはトラッキンブ機能があるので、便利。
エフェクトコントロールのマスクの横にある再生ボタンをクリックするだけで、クリップの継続時間中、
顔の動きに合わせマスクが自動的にトラッキングされます。
動画・映像にはコーデックと呼ばれるカメラ、メーカーなどに依存する規格があります。
コーデックによってはPremiere Proで読み込んでも、リアルタイムに再生できなかったり、読み込みに時間がかかることが多々あります。
さらに、4Kで撮影された映像素材などは、PCスペックに依存し、カクカクとコマ飛びになり、再生がままならない状況にも。
このような状況を打破する機能が、プロキシワークフロー。
再生が重いクリップを一時的にプロキシファイルと呼ばれるファイルに置き換えて編集する機能です。
かつて、finalcut時代には当然だった、変換機能のことです。
ファイルを軽くして仮編集を行い、最後に本編集で最高画質に戻すという、王道の流れです。ただ、いずれにしても変換に時間がかかるのがネックです。
ここで、少しレベルアップ。
簡単にタイトルをつける方法をお伝えします。
編集をしているとだんだんと欲が出てきますよね。
「adobe After Effectsを使ってに簡単なタイトルをつけたい」
そんな時は、「After Effectsコンポジションに置き換え」を使ってみてください。
ファイルを右クリックし、 [After Effects コンポジションに置き換え] を選択します。
するとAfter Effectsがクリップとともに開き、タイトルやエフェクトをAfter Effectsで作成できます。
別途レンダリングの必要がないのがいいところ。
After Effectsプロジェクトを保存すると、自動的にPremiereにリンク。
Adobeならではの連携プレー、これは使えます。
以上、スピードアップ ムービー編集テクニックをご紹介してきましたが、まだまだお伝えできていないテクニックは山ほどあります。
次回は、プロのワークフローを中心にご紹介したいと思います。
(筆者 アーツテック制作スタッフ 伊藤)
日本屈指のクリエイター、酒井靖之監督が
最前線のクリエイティブの話題から、
人生に役立つ情報まで縦横に語り尽くす!
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