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動画編集を仕事にするには? 〜仕事内容・年収・メリット・デメリットなどを解説〜

2022.03.31 (Thu)

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YouTubeやTikTokが流行している今、動画編集はどのような仕事内容なのか気になっている人は多いと思います。本コラムでは動画編集の仕事内容やメリット、どのような人に向いているのか、必要なスキルについて解説しています。ぜひ、ご覧ください。

 

動画・映像編集の歴史

 

はじめに動画・映像編集の歴史からスタートします。動画・映像に編集というものが効果的に用いられた初めての例が、1902年のアメリカの映画監督 エドウィン・S・ポーターが、エジソン社のために作ったサイレント映画「Life of an American Fireman」です。

 

 

 

消防夫が女性と子供を助け出す場面は、クロスカッティング(異なる場所で同時に起きている2つ以上のシーンについて、それぞれのショットを交互に繋ぐこと)が用いられた初めての例とされ、ポーターは革新的な映画編集者として、当時もてはやされました。その後、1916年に公開されたアメリカの映画「イントレランス」では、クロスカッティング、大胆なクローズアップ、カットバック、ロングショット、移動撮影など、

 

撮影技術と編集技術の基礎を作った作品と言われています。

 

 

そして、動画・映像編集の革命といわれるのが、ご存知の方も多いかもしれませんが、ロシアのセルゲイ・エイゼンシュテイン監督作品「戦艦ポチョムキン」です。モンタージュ理論を確立した作品として知られています。

 

「オデッサの階段」はあまりにも有名なシーンです。

 

 

 

ここで使用されているグリフィス・モンタージュと呼ばれる手法は、フロイトの影響を受けた、ロシアのスタニスラフスキーの演出論に基づいています。特殊な状況にある俳優たちを、複数のカメラで同時撮影し、時間尺を変えることなく、多面的な視点を取り入れて編集したもの。

 

後半1分の乳母車のシーンをどこかで見かけたことありませんか。

 

 

 

ブライアン・デ・パルマの「アンタッチャブル」では、オマージュとしてそっくりそのまま使われています。また、有名な黒澤明監督の「七人の侍」の戦闘シーンは、スピルバーグ監督やコッポラ監督にも大きな影響を与えています。歴史に残る編集手法は、すべての動画・映像に関わる人々の根源となっていることがわかります。それ程までに、動画・映像制作において、「編集」というモノの存在は大きいのです。

 

それではここで、現代の動画・映像編集というものの、立ち位置をご説明します。

 

動画・映像編集の仕事内容

動画編集の基本的な仕事内容は、以下の項目に分かれます。

● 撮影素材を繋ぎ合わせる

● 編集効果を加える

● テロップを入れる

● BGMを入れる

● フォーマットする

 

撮影素材を繋ぎ合わせる

 

動画編集の最初の作業は、素材の繋ぎ合わせです。撮影した素材は、ほとんどがのりしろを含め長めに撮ってあるため、そのままでは使えません。OKカットを選別して、シナリオに沿って動画を繋ぎ合わせます。実はこの準備段階が、動画編集作業の中で一番時間がかかる作業なのです。この工程を仮編集といいます。

 

編集効果を加える

 

仮編集が済んだら、次は動画に効果を加えていきます。カットの切り替わりの効果や、カットの雰囲気を変える効果など、表現できることは無限にあります。編集マンの腕の見せ所でもあり、編集センスが問われる工程でもあります。

 

テロップを入れる

 

今は当たり前となっている動画テロップ。動画をわかりやすくするために補足として入れます。最近では、電車や外出先で、スマホで動画を見る人が多くなってきています。それも踏まえて、字幕を入れることが多くなっています。

 

BGMを入れる

 

BGMを入れる作業は、正確に言うと編集マンの仕事ではありません。選曲屋さんという職種の人がやる作業なのです。ただ、最近では予算を抑えるために、編集マンが選曲する場合も少なくありません。

 

フォーマットする

 

フォーマットとは、決まった規格にのっとりタイムラインに並べることを言います。例えばTV-CMなら、「ブラックバースト」58分00秒〜「カラーバー1分45秒」59分45秒〜「クレジット12秒」「ステ3秒」1h00秒00〜「本編15秒」「ステ3秒」「ブラックバースト」といったように決まったフォーマットがあります。その形式で納品しないと放送できないということになってしまうのです。

 

動画・映像編集の立ち位置

 

動画・映像編集は、制作工程の中の一部です。

動画・映像制作のスタッフは以下のように、制作系と技術系に分かれます。

 

制作系

 

制作系のトップは、プロデューサー。制作全体の指揮をとり、スポンサーとの交渉、スケジュールや予算管理などを行います。マネジメント力や交渉力が求められます。また、業界での人脈の広さも重要な要素です。

 

アシスタントプロデューサーは、プロデューサーのアシスタント業務を行います。プロデューサーになるには、アシスタントプロデューサーとして、5年から10年の下積みが必要です。

 

その間に、知識、経験、能力を養う必要があります。ディレクターは、プロデューサーの指揮のもと、作品の演出を行います。制作に関わる全てのスタッフに指示を出し、企画やコンセプトをもとに映像を具現化します。映像の演出の知識や経験が必須であるとともに、特にセンスが求められる職種です。
 

 

アシスタントディレクターは、ディレクターのアシスタント業務を行います。ディレクターになるには、アシスタントディレクターとして、多くの知識と経験を積む必要があります。ただ、知識、経験だけでは、この職種は勤まりません。生まれ持ったセンスや、日頃どれだけそのセンスを磨いていくかによって、運命が決まってきます。ただ一生懸命アシスタント業務をこなしていても、なかなか上へあがれない職種でもあります。

 

 

技術系

 

技術系は、編集オペレータ、CGクリエイター、音声などです。それぞれに、高度な技術が求められます。

編集オペレータは、「ディレクターの指示通り」に、映像のカット編集、テロップ挿入、エフェクトを使用し映像を加工します。「ディレクターの指示通り」=「ディレクターのイメージ通り」に作品を仕上げていくことが、オペレータに求められる技術です。

 

実は「編集」という職種は「編集オペレータ(EED)」と「編集マン」の二つに分かれます。そのことについては、後ほど記述したいと思います。

 

CGクリエイターは、コンピュータグラフィックスを駆使し、3D、2Dの動画、画像、イラストなどを作成し、作品をより質の高いものへ仕上げていく職種です。

 

音声には、ナレーションやBGMなどの音を整え作品まとめる「MAミキサー(マルチ・オーディオ・ミキサー)」、効果音、選曲をする「選曲・音響効果」、撮影中の音声を録音する「録音技師」などがあります。

 

撮影時には、「撮影」「照明」「美術」「メイク」「衣装」など、その他にも多くのスタッフが関わってきますが、今回の話題は、「編集」をメインとしたポストプロダクション(撮影後の制作)に限らせていただきます。

 

「編集オペレータ」と「編集マン」の違い

 

話は戻りますが、先ほど「編集」という職種は「編集オペレータ(EED)」と「編集マン」の二つに分かれると書きました。ここから詳しくご説明いたします。

 

「編集オペレータ」は、カットの長さから、カットの順番、映像効果に至るまで全て、横につくディレクターの指示に従います。求められるのは、どれだけ「速く」、どれだけ「正確」にできるかということです。

 

これももちろんプロ技の一つです。プロとアマチュアの大きな違いは、この、どれだけ「速く」、どれだけ「正確」にです。

 

プロの仕事には当然ながら「お金」が動きます。「お金」とはすなわち「時間」。「速く正確に」仕上げれば、少ない金額で、良いものができるということです。制作費は限られています。だから、制作に関わる人は、誰もがこの「速く正確に」を求めているのです。

 

そういうプロの集合体が、いい作品をつくる源となります。その中に「遅く不正確」な人間がいると、作品自体に悪影響を与えてしまうのです。正直、自分で書いていながら耳が痛いです(冗談)。

 

CMやプロモーション動画の場合、撮影前に企画・コンテが具体的になっていて、その通りに動画・映像化することが正しいやり方です。ディレクターの指示と、コンテ通りに編集し仕上げるのが「編集オペレータ」に求められることです。

 

これを違う視点から見ると、その人の独自性やクリエイティブ性が、あまり求められない職種とも言えます。つまり、他の人に取って代わられる仕事とも言えます。最近では、AIが発達し、自動で編集してしまうソフトウェアも出てきています。「編集オペレータ」にとっては、恐ろしい現実です。

 

AIが取って代わることができない領域、人が関わる意味がある編集をしなければ、「編集」という職種が消滅しかねません。一歩上の編集それが、「編集オペレータ」を超えた「演出的編集」ができる「編集マン」と呼ばれる職種です。

 

「演出的編集」とは、特に「ドキュメンタリー」を編集するときに発揮されます。ドキュメンタリーの編集は、大量の撮影素材の中から、「ここぞ」というほんの一部をプックアップし、作品として組み立て、物語をつくっていく作業です。

 

編集マンは基本的には撮影現場にいません。上がってきた100時間を超える収録素材に全て目を通し、その中から「これだ」というところをチョイスしていきます。一回見ただけで「これだ」という瞬間を見逃さないのが「プロ」の編集マンです。

 

もちろん、大元はディレクターによる演出意図がありますが、良い編集マンは、ディレクターの意図を組み取りながらも、さらに良い繋ぎ方を提案します。より演出に近い考えをもった編集ができる人が「編集マン」ということです。

 

そして、それを圧倒的な速さで繋いでいく、これこそ「プロ」の編集マンと呼ばれる職種です。映像クリエイターを目指している方には、ぜひ「プロ」を目指して欲しいと思います。

 

 

動画編集を仕事にするメリット、3つ!

  • 時間の融通が効く
  • 幅広い分野のスキルアップができる
  • クリエイティブな成果物が残る

 

メリット:時間の融通が効く

 

動画編集の仕事は自分のタイムスケジュールで調整ができます。
例えば、クライアントとしっかり納品日の確約をしたうえで、タイムスケジュールを最初に出しておけば、ある程度自分でコントロールが可能になるため自由度はあります。

適宜、経過報告を守り納期に間に合うように作業を進めていければ、拘束されることはあまりないでしょう。自身のスキルにもよりますが、同時に他の仕事を進めることも可能です。

 

メリット:幅広い分野のスキルアップができる

 

動画編集の仕事ではPCの操作ができることは必須条件となります。しかし動画編集を目指す人でPCが苦手という方はいないでしょう。

 

動画編集の仕事は編集ソフトを使い作業をします。動画の編集作業をすることで、新しい編集知識をたくさん学ぶことができます。

 

一般的なAdobe系の編集ソフト。アニメーション用の3DOGの操作など、様々な知識が必要になってきます。素材整理の仕方や、テキストの入れ方、動画の撮影の方法、データの保存方法などの動画編集をする時の基本的なことについても知らなくてはいけません。

 

フリーランスで活動するのであれば、動画編集の仕事を得るための営業力は必須です。また、クライアントとの打ち合わせにはコミュニケーション脳力も必須です。こういった幅広いスキルを身につけることができます。

 

メリット:クリエイティブな成果物が残る

 

動画編集の成果物は作品として残ります。一つひとつの仕事が作品として残りそれがのちに積み重なれば、自身の実績として評価されそれが次の仕事につながっていきます。クライアントは初めて仕事を頼む場合、クリエイターのこれまでの実績をみてこの人に頼もうと思います。

 

また、YouTubeやSNSなどで配信した場合、視聴者の声を直に聞くこともできるため、視聴者の反応がダイレクトに分かります。頑張って編集した動画が高評価だったり、広くシェアされることは自身のモチベーションアップにもつながり、やりがいが持てます。

 

 

動画編集を仕事にすることのデメリット

 

動画編集の仕事にはメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。

主なデメリットは以下の3つになります。

  • 仕事量のわりに報酬が少ない
  • クライアントからの修正が多い
  • 納期に追われる

 

 

デメリット:仕事量のわりに報酬が少ない

 

動画編集の仕事は細かい作業が多く、想像以上に時間がかかってしまいます。

 

基本的に5分くらいの動画でも、仕上げるまでに早い人でも10時間から15時間くらいかかります。初心者にならば、もっと時間を要することになります。
その人のスキルによるところなので、特に駆け出しのころはやっている仕事量の割に報酬が少ないなと感じることもあるでしょう。

 

デメリット:クライアントからの修正が多い

 

クライアントから依頼を受けている動画編集の仕事の場合は、クライアントのイメージとこちらの制作意図が一致しないこともあります。

 

何度もクライアントからの修正が入るということは、自身のコミュニケーション能力の問題ということもあります。また、自身のスキルが上がるほど、プロとしてのプライドも出てくるため、クライアントとの感覚の違いに悩まされることもあります。

 

デメリット:納期に追われる

 

どんな仕事も納期を守るというのは、クライアントとの信頼につながり、更には次の仕事にもつながります。特に動画編集の仕事には納期を守ることは絶対です。動画のリリース日が決まっている場合、納期に間に合わせなければ動画が配信されず、企業としては大損失になるのです。依頼する側は納期に合わせていろいろなことを鑑みているわけですから納期はとても重要になります。

 

動画編集の仕事に向いている人の特徴

映画や動画が好きな人

 

普段から映画や動画をよく見る人や、趣味で動画を投稿している人、自作の動画で視聴者の心に響くことに喜びを感じられる人。特に、好きな映画などを観て演出やカット割りなど気になる人は非常に向いているのではないでしょうか。

 

コツコツした作業が得意な人

 

動画編集は細かい作業や繰り返し行う作業が多く、根気よく丁寧に、コツコツとした作業が楽しいと思える人には向いていると思います。雑な編集でこだわらない人にはクオリティのいい作品は生み出せないからです。

 

 

動画編集の平均年収は?

 

おそらく平均だと400万円くらいだと想像します。

ただ時間給で計算すると、サラリーマンよりもかなり低いと言わざるを得ません。

 

動画編集に必要なスキル

 

動画編集の仕事はPCが必須です。PCが使えない人は、動画編集の仕事はできません。その他に、映像の基本的な概念や知識も必要です。

 

まずは、動画編集ソフトを使いこなせることが必須になります。代表的なソフトでいうとAdobe Premiere Pro 。もしくは Final Cut Pro、さらに画像加工ソフトのAdobe Illustrator, Photoshopは最低限必要なスキルになります。これらが使えないとお話になりません。これらを活用して、動画のカット、テロップ、画像、BGMの挿入、色調補正、サムネイル作成などが問題なくできることが求められるのです。

 

全くの素人の場合、一人前の編集マンになるのに10年以上はかかります。

 

未経験から動画編集マンになる方法

 

編集マンになる一番の近道は、編集スタジオに勤めることです。そこで下働きを3年〜5年、少しづつメインを任されるようになって10年経てば一人前になれます。そこまで根気強く続けられるかが、一番の問題ですが。

 

 

動画編集おすすめソフト

無料ソフト「iMovie」

 

FinalCutProとの互換性があり、作業がサクサク進むので人気の編集ソフトになります。たとえば、iPhoneで撮った動画をPCで編集することもできるため、動画初心者にはおすすめのソフトです。

手軽に初めはYoutube の投稿動画をとお考えの方は、無料でさまざまな機能が使えるので、初めての動画編集の人はこのソフトから使うのが良いでしょう。

 

有料ソフト DaVinci Resolve

 

DaVinci Resolveは、カラーグレーディングをメインとした編集ソフトで、リアルタイムにグレーディングをしながら編集を進められるのが特徴。色へのこだわりがある方は、こちらがおすすめ。

 

有料ソフト Adobe PremierePro

 

Adobe PremiereProは、オールマイティな編集ソフト。よくわからないけど編集をやってみようと思っている方は、こちらがおすすめ。

 

 

ドキュメンタリー作品の事例

酒井靖之監督作品 「母娘の想いを、つなぐ仕事」 

 

 

着物を売る仕事とは―。

着物を買う、家族の想いとは―。

来店から振袖選び、前撮りまで、実際のお客さまにご出演いただき、密着取材したドキュメンタリー作品。

 

「着物販売が、母と娘の想いをつなぐ仕事、そして、その人の人生に関わる大切な任務があるということ」を伝えることができるか、それが編集段階でのゴールでした。ただ単に、順番通りに繋いでいっても作品にはなりません。大量の素材の中から、「母の想い」「娘の想い」「販売に関わるスタッフの想い」を抽出し、構成しながら繋いでいく、高度な編集が求められました。

 

弊社の編集マンのコメントを紹介します。

「酒井靖之監督の求めるクオリティは、並大抵のものではありません。常に自分のベストを超える結果を出さないといけません。時として、全部やり直しになることもありますが、いつもそこにチャレンジしています」

 

良い監督やディレクターと一緒に仕事をすることが、編集マンへの近道かもしれないと、取材をしてこのとき感じました。技術的なことは、やっていくうちに取得できます。重要なことは、「プロ」としての意識ではないかと考えます。

 

スピードに関すること、クオリティに関すること、「プロ」として求められる当然なことは当たり前で、それを超えていく仕事をする人こそ、真の「編集マン」へ近づくのではないでしょうか。

 

 

まとめ

 

巷では、「YouTube動画専用の編集」を生業にしている人が増えています。この仕事はおそらくここ3、4年で淘汰され、消滅すると思っています。なぜなら「プロ」ではないからです。

 

「プロ」こそ、人が求める仕事であり、永遠に必要とされる職業です。時代時代でそのときに合った職業が生まれ、そして必要がなくなれば消えていきます。

 

しかし「プロ」だけは、withコロナの時代にあっても、この先どんなことがあろうとも、そして何年たとうとも消えることがない職業です。

 

筆者の私も含め、本当の「プロ」を目指すことが、動画・映像に関わる人が、生き残るためにやるべき唯一の方法ではないでしょうか。

 

筆者:アーツテック制作担当 伊藤

 

 

日本屈指のクリエイター、酒井靖之監督が

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