動画・映像編集という仕事 〜本当の編集とは何かをプロの現場から解説〜

動画・映像編集という仕事 〜本当の編集とは何かをプロの現場から解説〜

2021.04.25 (Sun)

動画・映像編集という仕事 〜本当の編集とは何かをプロの現場から解説〜

一般の方が動画を作成してweb公開することが、もはや当たり前な時代。

 

なんとなく自分で動画の編集を始めてみると、意外とできてしまう。

「自分はクリエイターとしてやっていけるのでは?」と夢を抱いている人が多くいるように感じます。

それは、この数ヶ月間、リクルート担当として多くの方と面接をしてきた感想でもあります。

では、プロの現場の動画・映像編集とは、どのような仕事なのでしょうか。

 

本記事では、動画・映像編集の仕事について、プロの現場から、事例を交えてご紹介します。
将来、動画・映像編集の仕事をしたいとお考えの方は、ぜひ、ご一読ください。

 

動画・映像編集の歴史

 

はじめに動画・映像編集の歴史からスタートします。

 

動画・映像に編集というものが効果的に用いられた初めての例が、1902年のアメリカの映画監督 エドウィン・S・ポーターが、エジソン社のために作ったサイレント映画「Life of an American Fireman」です。

 

 

消防夫が女性と子供を助け出す場面は、クロスカッティング(異なる場所で同時に起きている2つ以上のシーンについて、それぞれのショットを交互に繋ぐこと)が用いられた初めての例とされ、ポーターは革新的な映画編集者として、当時もてはやされました。

 

その後、1916年に公開されたアメリカの映画「イントレランス」では、クロスカッティング、大胆なクローズアップ、カットバック、ロングショット、移動撮影など、

撮影技術と編集技術の基礎を作った作品と言われています。

 

 

そして、動画・映像編集の革命といわれるのが、ご存知の方も多いかもしれませんが、ロシアのセルゲイ・エイゼンシュテイン監督作品「戦艦ポチョムキン」です。

モンタージュ理論を確立した作品として知られています。

 

「オデッサの階段」はあまりにも有名なシーンです。

 

 

ここで使用されているグリフィス・モンタージュと呼ばれる手法は、フロイトの影響を受けた、ロシアのスタニスラフスキーの演出論に基づいています。

 

特殊な状況にある俳優たちを、複数のカメラで同時撮影し、時間尺を変えることなく、多面的な視点を取り入れて編集したもの。

 

後半1分の乳母車のシーンをどこかで見かけたことありませんか。

 

 

ブライアン・デ・パルマの「アンタッチャブル」では、オマージュとしてそっくりそのまま使われています。

 

また、有名な黒澤明監督の「七人の侍」の戦闘シーンは、スピルバーグ監督やコッポラ監督にも大きな影響を与えています。

 

歴史に残る編集手法は、すべての動画・映像に関わる人々の根源となっていることがわかります。

 

それ程までに、動画・映像制作において、「編集」というモノの存在は大きいのです。

 

それではここで、現代の動画・映像編集というものの、立ち位置をご説明します。

 

動画・映像編集の立ち位置

 

動画・映像編集は、制作工程の中の一部です。

動画・映像制作のスタッフは以下のように、制作系と技術系に分かれます。

制作系のトップは、プロデューサー。

制作全体の指揮をとり、スポンサーとの交渉、スケジュールや予算管理などを行います。マネジメント力や交渉力が求められます。また、業界での人脈の広さも重要な要素です。

 

アシスタントプロデューサーは、プロデューサーのアシスタント業務を行います。

プロデューサーになるには、アシスタントプロデューサーとして、5年から10年の下積みが必要です。その間に、知識、経験、能力を養う必要があります。

ディレクターは、プロデューサーの指揮のもと、作品の演出を行います。

制作に関わる全てのスタッフに指示を出し、企画やコンセプトをもとに映像を具現化します。

映像の演出の知識や経験が必須であるとともに、特にセンスが求められる職種です。
 

アシスタントディレクターは、ディレクターのアシスタント業務を行います。

ディレクターになるには、アシスタントディレクターとして、多くの知識と経験を積む必要があります。ただ、知識、経験だけでは、この職種は勤まりません。生まれ持ったセンスや、日頃どれだけそのセンスを磨いていくかによって、運命が決まってきます。

ただ一生懸命アシスタント業務をこなしていても、なかなか上へあがれない職種でもあります。

 

技術系は、編集オペレータ、CGクリエイター、音声などです。
それぞれに、高度な技術が求められます。

編集オペレータは、「ディレクターの指示通り」に、映像のカット編集、テロップ挿入、エフェクトを使用し映像を加工します。

「ディレクターの指示通り」=「ディレクターのイメージ通り」に作品を仕上げていくことが、オペレータに求められる技術です。

 

実は「編集」という職種は「編集オペレータ(EED)」と「編集マン」の二つに分かれます。

そのことについては、後ほど記述したいと思います。

 

CGクリエイターは、コンピュータグラフィックスを駆使し、3D、2Dの動画、画像、イラストなどを作成し、作品をより質の高いものへ仕上げていく職種です。

 

音声には、ナレーションやBGMなどの音を整え作品まとめる「MAミキサー(マルチ・オーディオ・ミキサー)」、効果音、選曲をする「選曲・音響効果」、撮影中の音声を録音する「録音技師

」などがあります。

 

撮影時には、「撮影」「照明」「美術」「メイク」「衣装」など、その他にも多くのスタッフが関わってきますが、今回の話題は、「編集」をメインとしたポストプロダクション(撮影後の制作)に限らせていただきます。

 

「編集オペレータ」と「編集マン」の違い

 

話は戻りますが、

先ほど「編集」という職種は「編集オペレータ(EED)」と「編集マン」の二つに分かれると書きました。ここから詳しくご説明いたします。

 

「編集オペレータ」は、カットの長さから、カットの順番、映像効果に至るまで全て、横につくディレクターの指示に従います。

 

求められるのは、どれだけ「速く」、どれだけ「正確」にできるかということです。

これももちろんプロ技の一つです。

プロとアマチュアの大きな違いは、この、どれだけ「速く」、どれだけ「正確」に、です。

 

プロの仕事には当然ながら「お金」が動きます。「お金」とはすなわち「時間」。

「速く正確に」仕上げれば、少ない金額で、良いものができるということです。

制作費は限られています。だから、制作に関わる人は、誰もがこの「速く正確に」を求めているのです。

そういうプロの集合体が、いい作品をつくる源となります。

その中に「遅く不正確」な人間がいると、作品自体に悪影響を与えてしまうのです。

正直、自分で書いていながら耳が痛いです(冗談)。

 

CMやプロモーション動画の場合、撮影前に企画・コンテが具体的になっていて、

その通りに動画・映像化することが正しいやり方です。

 

ディレクターの指示と、コンテ通りに編集し仕上げるのが「編集オペレータ」に求められることです。

 

これを違う視点から見ると、その人の独自性やクリエイティブ性が、あまり求められない職種とも言えます。

つまり、他の人に取って代わられる仕事とも言えます。

最近では、AIが発達し、自動で編集してしまうソフトウェアも出てきています。「編集オペレータ」にとっては、恐ろしい現実です。

 

AIが取って代わることができない領域、人が関わる意味がある編集をしなければ、「編集」という職種が消滅しかねません。

一歩上の編集それが、「編集オペレータ」を超えた「演出的編集」ができる「編集マン」と呼ばれる職種です。

 

「演出的編集」とは、特に「ドキュメンタリー」を編集するときに発揮されます。

 

ドキュメンタリーの編集は、大量の撮影素材の中から、「ここぞ」というほんの一部をプックアップし、作品として組み立て、物語をつくっていく作業です。

 

編集マンは基本的には撮影現場にいません。

上がってきた100時間を超える収録素材に全て目を通し、その中から「これだ」というところをチョイスしていきます。一回見ただけで「これだ」という瞬間を見逃さないのが「プロ」の編集マンです。

 

もちろん、大元はディレクターによる演出意図がありますが、良い編集マンは、ディレクターの意図を組み取りながらも、さらに良い繋ぎ方を提案します。

より演出に近い考えをもった編集ができる人が「編集マン」ということです。

 

そして、それを圧倒的な速さで繋いでいく、これこそ「プロ」の編集マンと呼ばれる職種です。

映像クリエイターを目指している方には、ぜひ「プロ」を目指して欲しいと思います。

 

弊社のドキュメンタリー作品の事例を紹介します。

酒井靖之監督作品 「母娘の想いを、つなぐ仕事」 

 

 

着物を売る仕事とは―。

着物を買う、家族の想いとは―。

 

来店から振袖選び、前撮りまで、実際のお客さまにご出演いただき、密着取材したドキュメンタリー作品。

 

「着物販売が、母と娘の想いをつなぐ仕事、そして、その人の人生に関わる大切な任務があるということ」を伝えることができるか、それが編集段階でのゴールでした。

 

ただ単に、順番通りに繋いでいっても作品にはなりません。

大量の素材の中から、「母の想い」「娘の想い」「販売に関わるスタッフの想い」を抽出し、構成しながら繋いでいく、高度な編集が求められました。

 

弊社の編集マンのコメントを紹介します。

「酒井靖之監督の求めるクオリティは、並大抵のものではありません。常に自分のベストを超える結果を出さないといけません。時として、全部やり直しになることもありますが、いつもそこにチャレンジしています」

 

良い監督やディレクターと一緒に仕事をすることが、編集マンへの近道かもしれないと、取材をしてこのとき感じました。

 

技術的なことは、やっていくうちに取得できます。重要なことは、「プロ」としての意識ではないかと考えます。

スピードに関すること、クオリティに関すること、「プロ」として求められる当然なことは当たり前で、それを超えていく仕事をする人こそ、真の「編集マン」へ近づくのではないでしょうか。

 

まとめ

 

巷では、「YouTube動画専用の編集」を生業にしている人が増えています。

この仕事はおそらくここ3、4年で淘汰され、消滅すると思っています。

なぜなら「プロ」ではないからです。

 

「プロ」こそ、人が求める仕事であり、永遠に必要とされる職業です。

 

時代時代でそのときに合った職業が生まれ、そして必要がなくなれば消えていきます。

 

しかし「プロ」だけは、withコロナの時代にあっても、この先どんなことがあろうとも、そして何年たとうとも消えることがない職業です。

 

筆者の私も含め、本当の「プロ」を目指すことが、

動画・映像に関わる人が、生き残るためにやるべき唯一の方法ではないでしょうか。

 

 

筆者:アーツテック制作担当 伊藤

 

 

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