テロップ入れの極意 編集の現場からプロ技を紹介
2021.06.01 (Tue)
2021.06.01 (Tue)
今年の3月に実施された小学生向けのアンケートで、
「大人になったらなりたいもの」の第2位にYouTuberがランクインしています。
「動画・映像を配信する」という職業が、今や完全に認知されたと言っていいかもしれません。
スマートフォンさえあれば、だれでも、動画・映像の撮影、編集やアップロードまで簡単にできてしまいます。
一方、敷居が低くなることで、「動画・映像の質」が圧倒的に下がっているのも事実です。
このような状況にあって、視聴者に見てもらえる動画・映像を作るためのポイントは何でしょうか。
その1つは「動画・映像にテロップと言われる文字情報を入れること」です。
今回は、テロップ入れをするための具体的な方法や、時短術、また美しく入れるための極意をお伝えします。
(筆者 アーツテック制作スタッフ 伊藤)
Contents
はじめにテロップを入れるメリットをご紹介します。
1つ目のメリットは「音を聞くことができない環境でも、内容を理解できる」という点です。
電車の中で動画を見ている方をよく見かけます。
大きな音を立てることができない場所では、テロップが有効です。
弊社でもWEB動画以外にも、トレインチェンネルやタクシーCMの案件が増えてきています。
これらには、テロップが必須となっています。
2つ目は、「外国の方に発信できる」という点です。
動画・映像は、今や世界の視聴者に発信できる時代。
外国語の字幕を入れることで、さまざまな国をターゲットにできます。
弊社の事例でも、数カ国語対応は当たり前、インバウンド向けの動画など、日本人向けにただ作って終わる時代ではなくなっています。
3つ目のメリットは、「動画・映像にデザイン性を加えることができる」点です。
フォントの色やサイズ、綺麗にレイアウトすることで、動画・映像をより魅力的に見せることもできます。
エフェクトやアニメーション効果を組み合わせ、一歩上のテロップを作ることもできます。
このように、テロップにはいくつものメリットがあります。
次に、テロップの種類について説明いたします。
テロップの種類は、様々。
ナレーション、会話、すべての情報を文字に起こす場合は、字幕と言います。
皆さまも映画字幕には馴染みがあると思います。
ポイントとなるキーワードだけを入れる場合もあります。
その場合、字幕のように小さく下にいれるのではなく、広告写真のように、綺麗にレイアウトして入れる必要があります。
フォント選び、デザイン性が要求されます。デザインセンスが必要になる上級篇です。
ここで難しいのは、テロップは実は、動画・映像を台無しにしてしまう可能性も孕んでいることです。
それではここから、以上を踏まえて、字幕を効率よくいれる方法と、キーワードテロップを美しく入れる極意を、公開いたします。
字幕、テロップを入れる方法は、大きく分けて2タイプあります。
編集機内の機能を使う場合と、外部のソフトウェアを駆使する場合です。
編集機に備え付けのテロップツールを使うのが普通ですよね。
実はこれ、あまりオススメしません。
かつてfinalcut proを使用していた時代は、数分の作品にベタに字幕がのった状態だと、何時間ものレンダリング時間を要していました。
苦い思い出の方もいるかと思います。
それほど、重い処理だったのです。
現在皆さんがよく使うPremiere proでも同様に、たくさんのテロップをいれるとプロジェクトが開くのが重くなってきたりします。
ストレスはそれだけではありません。
カーンニングが非常にやりにくいので、無駄な時間がかかります。
テロップを綺麗に入れる一つの極意は、カーニングです。
紙面広告のように、カーニングを完璧に行うと、映像・動画においても美しく見えていきます。
高価なハイエンド編集ソフトinfelnoやflame以外で、テロップを軽く簡単に、
そして美しく入れることができる編集ソフトウェアが発売されたら、きっとバカ売れすると思います。
それでは、この現状でどうすれば、簡単に、美しく、テロップを入れられるのでしょうか。
それは、もう一つの手段、外部のソフトウェアを駆使する方法です。
Photoshopでもいいし、Illustratorでも可能です。
ただ一番のオススメは、After Effectsです。
After Effectsなら、字幕、テロップ、モーションテロップすべてが自由自在に作れます。そして、ワークフローもシンプル。
それでは、字幕入れの一例をご紹介します。
Premiere proで、表示しているこの富士山の映像に字幕を入れていきます。
入れる言葉は「新倉山浅間公園は日本を代表する富士山の絶景スポット」とします。
Aftereffectを開きます。
Premiere proから静止画を書き出し、Aftereffectに取り込みます。
背景として一番下部のレイヤーに設置し、テロップを作っていきます。
白文字で入れてみました。見えづらいので、シャドウを落とします。
レイヤースタイルからドロップシャドウを追加します。
少し見えやすくなりました。さらに字幕の外側に細い黒い縁取りを追加します。
見やすくなってきました。
次のフレーズを作ります。
まず、このレイヤーを1Fの長さにします。これがポイント。
次のフレーズも1Fで作ります。
写真のように1Fずつフレーズが並んでいく感じです。
これをどのようにPremiereと連携するのかというと、
ここは発想の転換です。
1Fずつアルファチャンネル付きの静止画 (tif)として書き出せば、書き出された1枚、1枚がテロップデータに早変わりするのです。
書き出されたテロップデータをPremiereに配置します。
テロップ入れ作業でありがちなのが、テロップを一通り入れてみたけど、なんかしっくりこない、
色を変えたいけど、一枚ずつやり直す時間も体力もないということです。
そんな時も、AfterEffectなら一発変換。
全テロップの色を一発で変換、効果をつけたいならその効果をコピーペースト。あっという間に終わります。
前回同様に書き出せば、テロップが上書きされて差し代わる一発変換。
究極の時短テクニックだと思います。
次に、広告のようなキーワードテロップを入れていきます。
After Effectの利点は、カーニングです。
Altキーを押しながら左右上下キーで微妙なカーニングを素早く処理することができます。
そして、背景に合わせてシャドウをいれたり、境界線をつけたり自由度が高いのがポイントです。
それらを駆使すれは、美しいテロップを自在に作ることができます。
業界用語でよく「テロップを立たす」とか「綺麗に抜く」といいます。
それは、CMのテロップを作るときによく言われる表現で、どれだけさりげなく、背景となる映像を生かしながらも、
はっきり見えるテロップを作れるかを指します。
シャドウや境界線を使わずに、もしくは使っていないように見せる手法で、テロップを浮き立たせる。
これこそプロ技となってきます。プロの編集マンは、ここにプライドを持ち競い合っています。
動画・映像には様々な要素がありますが、その大きな一つの要素がテロップと言えます。
今の時代、テレビを見ていてテロップのない番組はありません。
一般的に、映像・動画にはテロップがつくものとして捉えられています。
WEB動画やCMでもテロップが有効に活用されています。
近年のモーションタイポグラフィと呼ばれる手法は、テロップをより印象的に表現しています。
モーションタイポグラフィとは、文字にアニメーションをつけることで文字情報と映像情報を 統合し、より効果的で魅力的な表現を行うこと。
その起源は50年程前、映画のタイトルやエンドロールでの文字演出がその始まりではないかと言われています。
人の目を惹きたいと考えられる場面でよく使用し、文字の動き方や字体、サイズによって、感情を表現しようとするものです。
百聞は一見にしかずです。
弊社の事例の中で、テロップが印象的に使用されている事例をご紹介していきます。
総額5億円 毎週1万名に当たる、プリントパックのキャンペーンCM。
プリントパックらしいビビットな背景色、役者のインパクトのある演技、
放送基準ぎりぎりまで大きく表示したモーションタイポグラフィー、これらをミックスした、新しいスタイルのTV-CMです。
日本情緒あふれる修善寺を、FiRIN20mmと共に旅する女性。
動画・映像の世界観を崩さずに、さりげなく立たせる手法をとりました。
今、世界でSDGs(持続可能な開発目標)の大きなテーマとなっている「環境」。
持続可能な社会づくりを支えるために、一人ひとりが我ことのように「環境問題」を意識し、
行動していくには自然体験や社会体験から、五感を活用し” 気づき” や ” 感動 “を得る「環境教育」が大切になっています。
環境省のSDG’sに向けた取り組みを、全編字幕で訴求しました。
海外に向けたグローバルな展開に考慮し、開発思想や、設計のこだわりに踏み込んだ、スタイリッシュなプロモーション動画。
海外向けを意識したスタイリッシュなテロップで表現しています。
このようにテロップは、作品をより魅力的に仕上げるアクセントとなるものです。
一方、一歩間違えば、作品を台無しにしてしまうこともあります。
「映像は綺麗なのに、テロップが汚いね」なんて言われたら、もともこもありません。それなら入れない方がましです。
今回はPremiereとAfter Effectを使用した実践をご紹介しましたが、
ハイエンド編集ソフトのinfelnoやflameを使用すれば、テロップツールと編集機を分ける必要なく、さらに美しいテロップを入れることができます。
ただし、これらの編集室は1時間当たり7万円~10万円。
smokeの編集室は3万円~5万円。
つまり1作品の編集で最低でも30万円以上~数百万円の編集費となってしまいます。
予算のあるTV-CMの編集は、基本的にflameの編集室で1日以上として、100万円以上は当たり前なのです。
お金をかければ簡単に綺麗にテロップを入れることができますが、
現実そうもいきません。
だから知恵を絞って、クリエイティブにテロップを入れることをオススメします。
アーツテックでは、常に知恵を絞り、予算をかけずにクオリティの高い動画・映像を作っています。
そのノウハウは、テロップ入れだけに留まりません。
中身も、制作手法もクリエイティブに。それが、アーツテックのやり方です。
テロップ入れにお困りでしたら、ぜひアーツテックをご用命ください。
(筆者 アーツテック制作スタッフ 伊藤)
日本屈指のクリエイター、酒井靖之監督が
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