結果を出す仕事術 Vol.1「超アナログ仕事術」(後編)
2023.05.29 (Mon)
2023.05.29 (Mon)
ここで、自分の仕事の上で重要な役割を果たしている仕事道具をご紹介します。
道具を上手に使いこなしてこそ、良い仕事ができると僕は思っています。
道具というよりも、パートナー。
そんなパートナーたちを紹介させていただきます。
まずは、メモを取る時、または浮かんだアイデアを書き記す時に使う手帳。
僕は同じ種類の手帳を三サイズ使っています。
打ち合わせ時などは、書き漏らしのないよう、速記しなければなりません。
小さい手帳だと速記しにくいので、一番大きい赤の手帳を使うことがほとんどです。
真ん中のサイズ(黒)は、浮かんだアイデアを書き溜める用途で使っています。
一番小さいサイズのものは、撮影やロケハン時に、大事な情報や、脳に浮かんだ大切なことを記す用途で使っています。
ポケットに入るサイズなので、重宝します。
これら3つの手帳は、いずれもエルメス。
赤の手帳は約17年前、ニューヨークのエルメスで購入したもの。
永らく僕の相棒として活躍してくれています。
この赤い手帳は若干派手ですが、ウチの会社のキーカラーが赤なので、この色にしました。
持ち物もセルフプロデュースの一部として捉えていますので、らしいモノを持つようにしています。
また、四十歳を越えてからは、自分がモノを選ぶ際、自分と共に人生を歩んでいけるのかというのが、買うかどうかの基準になってきました。
そうした意味で、僕はなるべく長く深く愛着を持てるものを選んでいます。
(その割に、お気に入りのものでもすぐ人にあげてしまいます。飽きたからではなく、見込んだ人に「ガンバレ」との意味を込めてプレゼントしています)
また、お気に入りの手帳を持つと、幸せな気持ちになるのも良いところ。
誰でも仕事は大変だし、忙しいとストレスを感じる。
そんなときに幸せな気持ちになる道具を使いたいと、僕は思っています。
スケジュール帳はこれ。
資料などのファイリングがしやすく、ポケットがあるのも良いところ。
特に気に入っているのが、中のリフィル。
(ダイゴー アポイント Appoint マンスリー+チャート)
スケジュールとともに、いくつも重なるプロジェクトの流れが、一瞬で捉えられるよう、工夫されています。
この手帳に書き込むのは、主にこのプロジェクトの流れ。
そして、1日のスケジュールを書き込むのはこちら。
(伊東屋 リーガルパッド)
朝の日課として、このノートに、1日のやる事、時間、優先順位を書き込みます。
終わったら、赤で潰していき、全部終わったら破り捨ててシュレッドします。
今は、Googleカレンダーなどのデジタルツールで、スケジュール管理されている方が大半だと思います。
ただ僕は、スケジュールの変動が多く、変更してくれる秘書もいません。
ベストセラー「経営の見える化」の著者 小山昇氏に取材した折、こうしてスケジュールを全公開することの利点を伺い、以来、こうして皆の見える位置に自分のスケジュールを公開しています。
これも超アナログですが、これに勝るスケジュール管理はないと思っています。
(伊東屋 萬寿屋の原稿用紙)
創作意欲をかき立てるため、ペンや原稿用紙にもこだわっています。
こちらの原稿用紙は、銀座 伊東屋のオリジナル。
キャッチコピーは、必ずこの原稿用紙に手書きで書いています。
ペンも、こだわりがあります。
というか、僕は、「こういうときはこれ」と、使うペンが決まっています。
(伊東屋 itoya 110 ペン ジャケット for サインペン)
上のペンは、創業時の弟子から頂いた大切な品です。
黒のペンは、原稿をかくとき、赤のペンは人の原稿などに赤を入れるときに使っています。
(上から2番目:毛筆タッチ)
(三菱鉛筆 水性サインペン リブ細字)
上のペンは、毛筆タッチで、太く書けます。
主に原稿用紙にキャッチコピーを書くとき、または、絵コンテの台詞を強調したい時に用いています。
(プラチナ プレスマン シャープペン 速記用0.9mm)
シャーペンは、シナリオにカット割りなどを書き込むときに使います。
僕は、筆圧がめちゃめちゃ強いので、「プレスマン0.9」という極太のシャーペンを使っています。
「プレスマン」というだけあって、これも速記できる、頼もしい相棒です。
打ち合わせ時には、このペンケースを持っていきます。
なかなか良いペンケースが見つからなかったので、メガネケースを改造して自作したものです。
(CROSS プレシャス センチュリーII ブラックラッカー ボールペン)
このペンが、主に打ち合わせ時に使うものです。
ウチの社員にも、「クライアントとの打ち合わせ時に、コンビニボールペンを使わないように」と事あるごとに言っています。
クリエイティブの会社が、もらい物やコンビニボールペンじゃ情けないし、道具にこだわるのがプロ。
何よりも、クリエイティブの世界に生きる自覚を持ってもらいたい。それが理由です。
あとは、前述したシャーペンや赤ペン。
速記用にはこれ。
(ジェットストリーム ラバーボディ)
(LAMY ラミー ボールペン 水性 サファリ)
この2つのペンは、とても速記がしやすい。
特にジェットストリームの書きやすさは群を抜いています。
速記が必要な時は、この子たちの出番となります。
(プラチナセンチュリー万年筆 ブラックインブラック)
僕はよく手紙を書きます。
仕事では、取材対象者への御礼として手紙を書きます。
僕は、手紙は万年筆と決めています。
若き日、それが常識と習ったので、それを頑なに守っています。
今の時代は、メールやLINEといったデジタルツールが主流ですが、手紙というのも、なかなか良いものだと思っています。
これ以上に体温の伝わるコミュニケーションツールはないんじゃないかな。
そういえば、亡くなった僕の母も、大変筆まめな人でした。
良きところを受け継いだと、母に感謝です。
以上、「結果を出す仕事術」の第2回として、私の「超アナログ仕事術」についてお話させていただきました。
スマホやタブレットはもとより、IoTやDXなど、デジタル技術は進化の一途をたどっています。
僕が考えるに、デジタルの究極とは「アナログ」に近づくことです。
イラストを描くデジタルアプリケーションやハードは、いかに「手書き」の感覚で書けるかが大事。
カメラやムービーカメラのメーカーたちも、アナログ(いわゆるフィルム)の画質に近づけるよう、各社しのぎを削っています。
音楽の記録媒体も、レコーディングの音に最も近い音質を出力できるのがアナログレコード。
実は、アナログってすごいんです。
デジタルに難くせをつけるつもりは毛頭ありません。
冒頭に申し上げたように、僕もデジタルを使っていますし(カメラもムービーカメラも、編集も全部デジタル)、デジタルの恩恵を受けています。
しかし、創作というものは、あくまでも脳で考えるものだし、ハードやソフトは、デジタルだろうがアナログだろうが、それを表現するひとつのツールでしかないのです。
アナログ脳を磨いて、デジタルを使いこなす。
ますますこれを磨くことで、創作能力ももっと磨いていきたいと願う今日この頃です。
(文:酒井靖之)
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