今日からできる!映像のプロによる“他と違う”スマホの写真講座!
2023.06.23 (Fri)
2023.06.23 (Fri)
最近ではスマートフォンのカメラ性能が格段に良くなってきています。
iPhoneのCMでは “これで映画が撮れる” と広告を出しているほど。
しかし、実際に写真を撮ったとき
「あれ、何か違う」と思ったことはありませんか?
題材は良いのに、自分がイメージしていた写真と、実際に撮った写真とで全然違う…
そこで、超実践編!
素人とプロがiPhone撮った写真を比較して、何が違うのか、実際にどうやって撮っているのかなど、解説をしていきたいと思います!
今日から使える内容ですので、是非試してみてください!
Contents
テーマは梅雨のお花「紫陽花(あじさい)」です!
まずは、素人(アーツテックスタッフ 入社半年)が撮った写真をご覧ください。
ん〜、なんとも微妙ですね(笑)
iPhoneのポートレート機能で後ろをぼかしてみましたが、何を目立たせたく、この写真を見た人に何を伝えたいのかが、今一つわかりません。
では、酒井監督がiPhoneで撮った写真を見てみましょう。
紫陽花1
素人が見てもその差は一目瞭然。
真ん中の紫陽花が主役として、凛とした表情を見せています。
しかし、これでは納得がいかなかった酒井監督。別の日に再度撮った写真がこちら…
紫陽花2
かなり雰囲気が変わりましたね。
この写真を撮った日は雨。
普通なら、“あいにくの雨だ”と気分が下がりそうですが、梅雨の花であるからこそ雨を一つの小道具にして、より一層紫陽花の良さを引き出した写真になっています。
紫陽花3
また雰囲気が変わりました。
同じ題材なのに、3つの写真で全く表情が違って見えます。
3枚目の写真は、撮影時に露出(下記太陽マーク)を下げることで全体を暗く。編集機能のビネットで縁を黒で囲むことで完成した作品です。
紫陽花3の作成方法
カメラを起動>画面をタップしてピントを合わせる>太陽マークを下に移動させる
カメラロールを起動>編集したい画像を選択>右上の編集をタップ>一番右のビネットで調整
ちょっとした撮影方法と編集で、単なる写真から“作品”になったのがわかります。
では、このように一味違う写真を撮るにはどうしたら良いのでしょう。
実際に写真を撮った酒井監督に取材しました!
スタッフ:
まず、写真を撮る前に、題材はどのように決めているのでしょうか?
酒井監督:
いきなり難しい質問ですね(笑)。
シンプルに良いなと思ったものを撮ることです。
そして、どういう世界観の写真なのかを伝えることができる写真は良い写真だと言えます。
例えば、料理の写真を撮る時に、記録用として撮るのか、人に見てもらうために撮るのかで変わります。
スタッフ:
記録用と見てもらう用??
酒井監督:
はい。僕の場合、写真家として見てもらうことを常に意識して撮っています。
でも、皆さんもSNSなどを通じて、誰かに見てもらうための写真を撮ることもありますよね?
その時に、写真の世界観を作ることで、写真から“作品”に変わるのです。
では、作品にするためのポイントをいくつかお伝えします。
酒井監督:
先ほどの紫陽花を例に出してみると、どういう位置から撮れば美しい、という正解があるわけではありません。
花といっても、テーマがあります。
花の向こうの広がりをみせるのか、花自体の繊細さを写し出すのか。
スタッフ:
なかなか私のような素人には難しそうですが(汗)具体的にはどうしたら良いのでしょうか。
酒井監督:
まずは、先ほどお伝えした“テーマ”を決めることです。
紫陽花は雨の似合う、数少ない花の一つです。
晴れの日に撮った写真(紫陽花1)の場合、紫陽花としての魅力がないと感じて雨の日に撮り直しました。
雨という小道具を使うことで、よりその花の良さを引き出せたのです。
また、ポートレート機能を使って、ぼかすことにより、この先にも紫陽花が咲いているのだろうという世界観をつくりだすことができます。
ここで大切なのは、相手の想像力を借りて写真を撮ることです。
スタッフ:
相手の想像力を借りる?どういうことでしょう?
監督:
例えば、人を撮った場合
「この人の目線の先には何があるのか」
「この人は何に向かって歩いているのか」
と、相手に想像させてることができる写真は、世界観を伝えることができている、良い写真だと言えます。
監督:
光を読むこと。これが写真が上手くなる第一歩になります。
例えば、植物がどの角度から光が当たっている時に美しく見えるのか。
例えば、5月に咲く新緑は順光※1では撮りません。
新緑の葉っぱは透過光※2といって、後ろから光を当てる時にグリーンが見事に輝くのです。
秋の稲穂も逆光で陽の光が出た時に、金色色に輝きます。
これを順光で撮ってしまうと、まるで世界観が変わってしまうのです。
※1 被写体に対し、正面(カメラ側)から当たる光のこと
※2 物体を通過した光のこと
酒井監督:
日頃から良い写真とか良い絵画を見慣れていると「あんな感じに撮りたいな」という引き出しができます。
だから、写真が上手くなりたいという人は、自分の好きなアーティストや自分がすごいと思っている写真家などをよく見ることが大切です。
闇雲に良い写真を撮れたと思っていても、相手にとっては良い写真であるとは限りません。
スタッフ:
ちなみに、酒井監督が参考にした写真家などはいますか?
酒井監督:
・木村 伊兵衛
・アンリ・カルティエ=ブレッソン
・Jean Clair
・Robert Doisneau ロベルト・ドアノー
私はこの人たちを参考にしています。気になった方はぜひ見てみてください!
スタッフ:
普段プロ機を使用している酒井監督が、iphoneを使って撮影するときはどんな時でしょうか。
酒井監督:
今、この瞬間に撮りたいと思う場面に遭遇した場合です。
例えば、次の現場の移動中に、プロ機では間に合わない場合などです。
写真を撮る上で、一番大切なのは“その時”なのです。
今ここで撮るとなった時はiphoneを使います。
写真は、いかに“良い瞬間”を切り取れるかが最も大切なことです。
実はこの羊たちの写真もiphoneで撮りました。
この作品の題名でもある「一期一会」。これは全ての作品のテーマでもあります。
ここまで、酒井監督にスマートフォンでの上手な撮り方についてお伺いしてきました。
相手の想像力を借りて、その世界観が伝わる作品を作り出すことで、オンリーワンの写真を撮ることができることがわかりました。
単に撮った写真をなんでも専用アプリなどの編集の力に頼って撮影するのではなく、撮りたいと思う写真をどう表現するか工夫してみることが大切なのだと思います。
ぜひみなさんも、今日から実践してみてください!!
(アーツテックスタッフ:岡田)