動画クリエイターお悩み相談室 第一回 - 映像制作・動画制作会社 - ARTSTECH(アーツテック)

動画クリエイターお悩み相談室 第一回

2024.04.12 (Fri)

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憧れて足を踏み入れた映像業界。

しかし日々の業務に追われて、あっという間に時間は過ぎていくばかり。

悩みはどんどんと増えていく一方。

あんな時、こんな時、僕はどうすればいいのだろう‥‥。

今回はいつもと趣向を変えまして、酒井監督に、若手動画クリエイターからの質問をぶつけさせて頂きました。

ご一読いただけると幸いです。

 

 

■ 1 カッコいい映像を撮るためには

 

Q:カッコいい映像を撮りたいと思っているのですが、なかなか上手く撮れません。どうすればスタイリッシュでカッコいい映像を撮れるようになれるのでしょうか。

 

 

A:いきなり難しい質問ですね(笑)

 

カッコいい映像を撮るにはいくつもの方法論があると思います。

大まかに分けると、

 

・被写体

・カメラワーク

・照明

・編集

・音楽選曲

 

ここらあたりになると思います。

 

まずは、被写体選び

これを言うと見も蓋もないのですが、まずは、被写体がカッコよくなければなりません。これは当たり前ですが、とても重要。

 

ヘアやメイクも大事。

着る服もファストファッションではなくて、なるべく旬なブランドを着てもらった方が良いと思います。

 

 

次に、カメラワーク

 

 

ぜひ、カメラのレンズ選定、そしてポジションと動きに、とことんこだわってみてください。

 

広角・標準・望遠レンズを駆使して、メリハリのある画角を意識しましょう。

 

スタイリッシュな映像は、カメラの動きも重要です。

ただし、とりあえずカメラを動かせておけばいいんだ、と思って、やたらと画面を動かす人も多いのですが、意味なく画面が動いていると、見ているほうは疲れますので、ほどほどに。

 

 

それから、照明ですね。これは特に重要。

 

 

照明で、全てに光を当ててしまうと、どうしてもベタな映像になりがちです。

特に、外でのロケ撮影で厳禁なのが、順光の照明。

女性に対して順光の照明を当てると、顔がのっぺりしてしまうので、サイド光、もしくは逆光を利用しましょう。

 

スタイリッシュな映像の照明とは、影を作る、ということ。

対象を明るく照らすというよりも、いかに影を作りこんでいけるかを考えていくのが、正しい照明だと言えると思います。

 

 

そして、編集

 

 

映像に一定のリズムしかないと、スタイリッシュには見えません。

 

緩急のある編集。海外のミュージックビデオなどをよく見て、つなぎ方の参考にしてください。

 

スタイリッシュにしたい作品は、ミュージックビデオのように、先に音楽を引いて編集する事が多いと思います。

 

音楽の選曲も非常に重要です。

音楽は、作品の良し悪しを決めてしまう重要な要素なので、日頃からいろいろな音楽を聴いて、感度と耳を養っておいてください。

 

また、作品をカッコ悪くしてしまう要素としては、日本人にありがちな「リズムの頭」から入ってしまう編集です。

 

映像に「ツータン、ツータン」というリズムがあるとして、「ツー」の部分で入ってしまうと、どうしてもカッコ悪く見えます。

「ツータン、ツータン」の「タン」で入ること。つまり、「リズムの裏」を意識すること。

 

編集の際には、こうした緩急、そしてリズムの裏で入ることを心がけると、印象はかなり変わってきます。

 

このように、スタイリッシュに見せるための細かい技法はたくさんあります。

 

命題を一つひとつクリアにしながら、こつこつと地道に進んで行けば、必ずゴールは近づいてきます。

 

そういう僕もまだまだ道半ば。まだまだです。

共に頑張っていきましょう!

応援しています!

 

(酒井靖之監督作品   フィアットオートジャパン「alfa GT 魅惑の夜 篇」)

 

 

 

■ 2 どうしてもベタな画になってしまう

 

Q:ドラマを撮ったのですが、再現ドラマのような、どうにもベタな仕上がりになってしまいました。もっと情感のある画にしたかったのですが‥‥。どうすればドラマチックで情感のある画を撮れるのでしょうか。

 

 

A:経験が浅いと、ベタベタな出来になりがちです。

 

ドラマにおいて大事な事は、いかに情感に溢れた映像を撮れるかということでしょう。

 

(酒井靖之監督作品 「おばあちゃんの口紅」より : https://www.youtube.com/watch?v=ixw4OpUUt9M

 

 

ベタになってしまうのは、人物をどう描写したいのかを計算できていないことが、ひとつの原因ではないでしょうか。

 

背景はどうするか。顔は正面なのかナナメなのか、アップなのかロングなのか。

最適な選択を選定することで、画に情感が溢れてくるものです。

 

情感の出し方を学ぶには、ぜひスチールカメラで練習することをお勧めします。

 

人物を正面から撮れば、単なる記念写真のようになってしまいます。

 

そこで、目線をカメラに向けないようにする、カメラの先の何かを見つめているような目線にしてみる、表情を演出してみる等、こういったことだけでも印象は大きく変わるものです。

 

場所も大事。

背景を壁にするか、青空にするか、桜の花にするか、等々。

 

ポスターのように、撮りたい画を1枚絵として捉えてみてください。

 

(酒井靖之監督作品 「母娘の絆」より :https://youtu.be/sWPb3uTUCAM?si=1ex2IRC9q-8AJyv5

 

その画は、ポスターとして成立するか。

成立してないなら、何が足りないのかを考えてください。

 

また、本を読んだり音楽を聴きながら、自分なりに情景を頭に思い浮かべてみるのも、いいトレーニングになると思います。

 

このような訓練を続けていくと、表現の力は格段に上がると思いますよ。

 

何はともあれ、ひたすら訓練です。

 

頑張ってください!

 

(酒井靖之監督作品「新しい私に、こんにちは」)

 

 

 

■ 3 良い企画が浮かばない

 

Q:なかなか良い企画が浮かびません。どうしたら良い企画を作れるようになりますか?

 

 

A:ストレートな質問ですね(笑) 

僕も日々悩んでいます。こっちが答えを聞きたいくらいです。

 

そんな僕にでも言えることは、集中力が極限まで高まった時に、自分の中に蓄積されたインプットが化学反応を起こして、良い企画が生まれるということ。

 

ですから、まずはどんどんインプットを増やしましょう。

空いた時間があればとにかくインプットです。

 

インプットとは、ひたすら映像を見ることだと思っている人も多いと思います。

 

はっきり言います。それは間違いです。

 

映像とは、脳にダイレクトにインプットさせるものなので、頭の創造力を鍛える訓練にはなりません。

かえって映像の見過ぎで、既存の映像のパクリのようになってしまい、どこかで見たようなシーンのオンパレードになりがちです。

これは若手クリエイターに多く見受けられるパターン。

 

それよりも、本を読む、旅に出る、いろんな人の話を聞く、遊ぶ、恋をする、など、様々な体験をする方がクリエイションの勉強になると思います。

 

若いうちは、安易な人マネ、どこかで見たような企画を考えないでください。

 

人マネをせず、ひたすら悩み、産みの苦しみを味わってこそのクリエイターです。

安直な道を選ぶと、創造力は一向に向上しません。

 

地道な努力を続けていけば、いつか誰もが見たことがないものが生み出していけると信じています。

頑張ってください!

 

 

 

■ 4 こんな自分でも大丈夫?

 

Q:才能があるとも思えないし、文章を書くのも下手。気も利く方ではありません。こんな自分が、この世界で活躍できるようになれるのか不安です。

 

 

A:その気持ちはよく分かります!

 

僕はこの業界に、映画の助監督として入りました。

 

監督、俳優、スタッフ、周囲は皆、強烈な個性の方々ばかりでした。

個性だけではなく、皆、とんでもないプロフェッショナル!

 

その中で、どうしても浮いてしまっている自分‥‥。

自分だけが、作品の何にも貢献できていない‥‥。

こんなとんでもない世界で、自分はやっていけるのか‥‥。

 

初めの頃は、本当に悩んだものです。

同じような思いをしている方も多いと思います。

 

自分も助監督として走り回っていた頃、この環境の中で、自分が監督のような立場になれるとは、想像もしていませんでした。

 

今、あなたに必要なことは、与えられた目の前の課題を、手を抜くことなく、ひたすら一生懸命にやり抜くことだと思います。

 

千里の道も一歩から。

目指すべき高い頂は、まず眼前の山を、一つひとつ乗り越えていかなければ到達できません。

 

そして、何度でも言いますが、日々のインプットや努力を怠らないこと。

 

僕も、今では脚本やコラム、書籍などの執筆をしていますが、それは後天的に身につけた能力です。

 

上手い人の文章を、ひたすら書き写して、文章のリズムを覚えていきました。

 

楽天Kobo電子書籍ストア: 陰翳礼讃 - 谷崎潤一郎 - 8916122061139

(酒井監督が書き写した谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」)

 

一年、二年、三年と地道に鍛錬し続けていくと、必ず、自分の視野が広がっていることに気づきます。

 

今の自分で、自分の可能性を決めつけてしまわないようにしてください。

あなたの才能が開花するのは、もう少し先です。

 

努力は嘘をつきません。

頑張っていれば、必ず道は拓けます。間違いありません。

 

頑張ってください!

 

 

 

■ 5 クライアントの意見はどこまで聞く?

 

 

Q:映像の演出において、クライアントの意見はどれくらい聞かなければならないでしょうか。自分が良いと思う企画でも、クライアントの意見を取り入れていくと、どうも良くない方向に行ってしまいそうなのですが‥‥。

 

 

A:その経験は僕にもあります。

 

クライアントに演出のことにまで口出しされると非常に困りますね。

 

若い頃、クライアントの要望(というか、映像の演出案)を最優先にして制作したら、先方から「なんですかこれ」と言われたことがあります。

 

「あなたが言った通りに作ったんですけどね」と言ってやりたくなりました。

 

それ以来、クライアントの意見は話半分で聞いています。

 

映像のアイデアは、あくまでも演出の人間が考えるものです。

 

クライアントにとって商品は自分の子供のようなものですから、その熱意は分かります。

 

ここで大事なのはコミュニケーション。

 

クライアントにとって大事なのは商品が売れること、ブランドの価値が上がることです。

 

こちらもプロですから、プロらしく、堂々とコミュニケーションを取りましょう。

 

クライアントが商品をつくるプロなら、僕たちはクリエイティブのプロ。

 

プロ同士、お互いを尊重しながら、同じ気持ちで、成功に向かって力を尽くせる関係性を築いて下さい。

それが、実効果の出る作品づくりの根幹をなすものと思います。

 

 

■ 6 まとめ

 

自分のレベルが上がってくればくるほど、いろんな悩みがやってきます。

 

ハードルを越えれば悩みが無くなる、という訳ではありません。

 

逆に、自分には才能がないんじゃないか、力もないのでは、と、より悩みが増えてしまうこともあると思います。

 

悩みがあるのは成長している証拠。

成長していない人は、悩みもありません。

 

結局は、自分を信じてやり抜くしかないと思うのです。

 

歯を食いしばって、一ミリでも二ミリでも前に進んで行く。

 

すると、いつか、「自分はここまで来たのか」「よく頑張ったな」と振り返られる時が来ますよ。

 

僕もまだまだ、志半ばです。

迷うことも悩みもたくさんあります。

 

悩みなくして成長無し。

謙虚な心で、共に頑張っていきましょう!

 

(酒井靖之  聞き手:佐々木一郎)

 

 

 

 

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