秘技!? DaVinci Resolveの音声処理!
2024.04.30 (Tue)
2024.04.30 (Tue)
動画編集において音声処理は非常に重要な要素の1つ。
今回は、ダビンチリゾルブでの音声処理を検証したいと思います。
ダビンチリゾルブ初心者のクリエイター必見です!
プロの現場で音声処置において重視する点は、
1、「不要なノイズを削除する ノイズリダクション」
2、「話し言葉を聞きやすくする イコライジング」
3、「音楽をきれいに終わらせる フェードアウト処理」
です。
この3つの処理がうまくいって、はじめて作品として成立すると考えています。
ということで、これら3つの処理について調査、検証していきたいと思います。
屋外などで収録した素材には、ノイズがのることが多いのは事実です。
それは、どんなに指向性の強いマイクでも避けられません。
プロの現場では、撮影の段階でもより工夫して良い音を録るのはもちろん、
編集の段階でも、不要なノイズはカットすることは必須です。
まずはオーソドックスな手法として、ダビンチリゾルブのノイズリダクションエフェクトを使用して、ノイズをカットしてみます。
編集ページで、エフェクトウィンドウからオーディFXの「Noise Reduction」を選択し、クリップへ反映します。
するとこのような画面が表示されます。
一番便利なのが「自動」ボタンを押して、10秒ほど走らせる手法。
それだけで、音声を自動分析してノイズをカットしてくれます。
「出力」にある「ドライ/ウェット」は、デフォルトで80ですが、これを強くすると
さらにノイズは削除されます。ただ、声が硬くなりすぎたりして違和感が出てくる可能性もありますので、微調整しながら数値を決めていくことがベストです。
また、小さい声や聞き取りにくい声を聞きやすくする機能としては、
「Soft clipper」という機能があります。これは、いわゆる「音圧を上げる」機能になります。
このエフェクトをクリップに採用すると、このような画面が出てきます。
操作簡単です。しきい値を上げるだけ。
しきい値を上げると、音圧が上がっていくのがわかると思います。
「Soft clipper」の良いところは、音量を上げるだけでなく、全体としての音量バランを整えてくれるところです。一箇所だけ大きすぎるとか、小さすぎるとかがなくなり、音を上げ下げする作業効率が、圧倒的に上がります。
もう一つの機能「Dialogue Leveler」もやってみたいと思います。
この中で「Optimaize for most sources」を使ってみます。
3つのチェックボックスがありますが、注目は「Lift soft dialogue」「Background reduction」です。
声の音量を持ち上げて、背景のノイズ除去をしてくれる機能です。
こちらも試してみましたが、上記の「Noise Reduction」と「Soft clipper」の方が、調整がし易いですし、効果もわかり易いので、おススメします。
次は、イコライジング機能を検証してみたいと思います。
収録状況が悪く、声がこもってしまったり、良い声質を得られなかった場合の後処理としてイコライジング機能があります。
プロの現場では、基本的にすべての話し声を、聞きやすくイコライジングすることが当たり前となっています。それは、バックグラウンドに音楽を付けたり、効果音をつけ、演出を加えることが多いからです。声が音楽や効果音にかき消されないよう、調整する必要があります。
フェアライトページのミキサーウィンドウにある「EQ」をクリックすると、
このようなウィンドウが開きます。
この図の上部で、音の波形を視覚的に確認できます。
横軸が周波数、縦軸が音量レベルとなっています。
下部はBand1〜6まで個々に調整できるつまみがついています。
Bandとは、周波数を意味しています。
よく見ると、上部の波形のラインに1〜6のポイントが打たれているのがわかります。このポイントごとに調整できるということです。
このポイント自体も動かすことができます。
「周波数」という部分を動かせば数値にそって、上部の波形が視覚的に動いていきます。
「ゲイン」とう項目は、設定した周波数のゲイン、つまり音量を上げ下げするものです。
「Qファクター」を上げていくと、イコライジングしたい周波数をさらに狭める、
よりピンポイントな効果が得られます。逆に下げていくと効果を与える周波数範囲が広がります。
例えば、ノイズや反響音など、特定の音を軽減したい場合は、この機能で周波数を狭めて効果をかけていくことが可能となっています。
それでは実際に細かく調整していきたいと思います。
初めに「ローカット」。
人の声の場合、60Hz〜120Hzを目安にカットすることが多いです。
Band1を有効にして、聞きながらポイント1の部分を動かして、違和感なく声が立つ周波数を探っていきます。今回は大体100前後がベストでした。
これだけでも不要な低音がカットされて、それ以上の音が前に出てきて聞きやすくなっていきます。
次にBand2です。
この周波数帯で不要な音を探ってカットしていきます。
「Qファクター」と「ゲイン」を上げ、「周波数」を動かすことで、不要な音を探っていきます。
そして、見つけたノイズ部分のゲインをグッと下げていきます。
下げる具合は扱う素材によって違いますので、聞きながら調整してみてください。
続いて、Band3、4も同じように調整します。
ここの狙いは、不要な音を削除して音をスッキリさせることです。
微妙なんですが、ON、OFFすると明らかに違いはでます。
この辺りは、どこまで時間をかけられるかになるかと思います。
プロの現場は、クオリティはもちろんですが、予算というものがあるので、
それを考慮した作業時間の管理をしっかりとする必要があります。
最後に高音部分を調整します。
ポイントは、人間の声の音域に近い1kHzあたりを上げすぎず、4KHz以上のあたりを上げていくことです。
自然で聞きやすく、空気感が伝わるような音になります。
逆に、1KHzあたりをグッと上げると、人の声はかなり聞き取りやすくなりますが、
どんどん機械音的な響きになっていきます。素材によって頃合いをみてやってみてください。
動画の尺と音楽の尺は、作曲しない限り、基本的にはマッチしません。
音楽の方が長いことが多いので、動画尺に合わせフェードアウトさせます。
このフェードアウトがきれいにいくか、もしくはコケるかで、作品の質が格段に変わってきます。フェードアウトがうまくいかないと、いい感じで進んできた動画の内容が、最後にずっコケてしまいかねません。
今までいくつものソフトウェアを使用してきましたが、
ダビンチリゾルブのフェードアウトは、とても良いです。
正直、プレミアのフェードアウトは、よくないです。
何が良くないかというと、よく聴くとフェードアウトの途中で、プツリとキレる感じがするところです。
それを感じさせないのがダビンチリゾルブのフェードアウトです。
これは、ぜひ使っていただきたいオススメ機能となります。
今回は音に関しての検証をやってみました。
前回も書きましたが、クオリティを上げる最大のポイントは、なんといっても「人のセンス」です(酒井監督がよくいう言葉)。
音に関しても同様だと思います。
技術を上げるのはもちろん、センスを上げる努力をしていければと、私自身も考えています。
次回は、「一歩上の編集術 テロップをキレイに見せるには」など、勉強しながらお伝えしていきたいと思います。
それでは、次回もよろしくお願いします!
(筆者 アーツテック制作スタッフ 伊藤)