AIに負けないナレーション ココロに響くナレーションとは? - 映像制作・動画制作会社 - ARTSTECH(アーツテック)

AIに負けないナレーション   ココロに響くナレーションとは?

2025.01.31 (Fri)

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はじめに

CMや動画などの映像・動画作品の多くはナレーションが入ります。

 

 

ナレーションは映像のもつ力をさらに増大させる手法です。

 

映像作品を良い作品と悪い作品に分けてしまうのは、ナレーションの良し悪しにかかっていると言っても過言ではありません。

 

 

こうした意味で、動画制作において重要な役割を担うのはナレーターです。

 

 

どういうナレーターが良いナレーターであり、悪いナレーターなのかを、弊社代表酒井監督に取材して一問一答形式にてまとめました。

 

 

ナレーションの役割

 

映像におけるナレーションの役割をどうお考えでしょうか?

 

 

〈酒井監督〉

無声映画(1910年ごろ)から始まって、テレビというメディアが育っていった大きな理由は、ナレーション(アナウンスも含む) というものがあったからに他ならないと僕は思ってるんですね。

 

 

例えば力道山だったり、昭和39年の東京オリンピックだったり、長島茂雄の活躍だったり、これらはアナウンサーの喋りが輪をかけて、日本中を熱狂の渦に巻き込んだと言っても過言ではありません。

 

 

テレビCMも、テレビの始まりと共に存在してきて、印象的なナレーションというものが多数あったと思います。

 

 

だいぶ昔のサントリーのウイスキー“トリス”のCM 「雨と犬」篇

 

 

「いろんな命が生きてるんだなぁ」

 

 

この名コピーとナレーションは、お酒も飲めなかった小学生時代の僕にも痺れるものでした。

 

 

CMや番組、映像作品を使って人にわかりやすく伝え、感動を高めていく。

 

その役割がナレーションです。

 

 

ナレーターになりたい方は、ナレーションや声優のテクニックを学校で学んでいく人が多いと思います。

まずそこが、第1段階。

 

 

こうした勉強をする中でナレーターが、落ち入りがちな欠点を、あえて僕は言ってみたいと思いますが、

「声が良いこと=良いナレーション」という風に勘違いをしてしまっている方が大多数いるという現実を考えなければいけない。

 

 

かっこいい声を出していろんな声を使い分けるようになる。

 

その人は声優さんの道を目指すべきだと僕は思っています。

 

 

ナレーションというのは映像に命を吹き込む作業。

 

その中で、ナレーション原稿の持つ意味、すなわち映像の演出意図を視聴者に訴求していかなければなりません。

 

 

もちろん、良い声というのは武器になるけれども、役者の演技と一緒で、相手のココロに響く技術が必要。

 

 

それは単に良い声だけで、相手のココロに響かせるものを作るのは無理だと、まずは自覚していただきたいと思うんです。

 

 

また、役者と一緒で、大根役者と上手な役者がいるように、大根ナレーターと上手なナレーターというのが、はっきりと分かれるのが現実です。

 

 

僕は、あるナレーション事務所のワークショップで講師を勤めていますが、そこでよく言うことは、

「滑舌が良い、声が良い、それではアナウンサーと一緒だ」

ということです。

 

 

アナウンサーが情感を込めたナレーションができるかといったらできないと思います。

 

アナウンサーは、しっかりとした滑舌で情報を正確に伝えるのが仕事だからです。

 

 

ナレーターの役割は、映像作品の語り部として“映像の持つ力”を最大限に訴求すること。

 

その技術を会得した人がナレーションの世界で活躍できる人なのです。

 

 

売れるナレーターとは?

 

酒井監督は、「ナレーションは最後に命を吹き込む作業」とよく言われています。

監督にとって良いナレーター、悪いナレーターの違いをどのように考えますか?

 

 

〈酒井監督〉

ナレーションが入っていれば全部それで良いのか?というのは、とんでもない話です。

 

 

1つの映像作品というのは、最初のプリプロダクションと言われる企画からはじまり、撮影までの準備段階の中で、

 

 

この人間をどう描くか、この商品をどう描くか。

 

この主人公にどんな服を着せるのか。

 

この商品のバックは何色にするのか。

 

 

主人公や商品を立たせるために、あらゆる知恵やアイデアを凝縮して準備します。

 

 

映像作品というのは、こうした小さな工夫を積み上げて完成に向かって進んでいきます。

 

 

例えて言うならば、

ある商品があるとします。

日本酒です。

 

 

日本酒は、良い水があって、はじめて良いお酒になります。

荘厳な清流のイメージに商品が重なる。

 

 

こうしたトーンの画に、明るいすっとんきょうな女性ナレーターの声を入れて、商品を本当に立たせることができるでしょうか?

 

 

演出に携わる人間は、作品の世界観を作っています。

 

最終段に入れるナレーションは、その商品の世界観に合致した声質、声の響き、人に訴える力がなくてはいけない。

 

これがナレーションを選んでいく基本になります。

 

 

私たち制作会社はナレーターを選ぶ権利を持っています。

 

 

良いナレーターというのは、演出家の演出意図を汲むのはもちろん、

広告主が「自分たちのつくる商品のイメージに合致している」と感じる力、

もしくはそれを凌駕する声と能力を持つ人です。

 

 

簡単に言ってしまうと、悪いナレーションはこうした世界観を壊してしまう人です。

 

 

わかりやすく言えば、

CMであるならば、良いナレーションは売れるナレーションであるし、悪いナレーションは売れないナレーションだという風に考えています。

 

 

 

時代が求めるナレーター

 

  1. これからの時代が求めるナレーターとは、どのようなナレーターなのか、お考えをお聞かせください

 

 

〈酒井監督〉

かつてナレーションは、ストレートナレーションと言って、企業の動画にありがちな、平坦に綺麗に声を入れていくものが主流でした。

 

 

今、こうした動画を見ることはありますでしょうか? また、見たいと思いますか?

 

 

今の時代、インターネットの時代になってから、こうした動画はかなり数が少なくなっていますし、好き好んで見る動画ではないと思います。

 

 

現在は、企業の動画であっても、味のある人とか、情感を出せる人とか、自分なりの個性を持っている、自分の強みを持っているナレーターの方が圧倒的に有利になっています。

 

 

テレビ番組のナレーターは、声を聞いただけで、「あっ、○○さんだっ」と判る個性の強い人が多いし、

CMは包み込む暖かさだったり、ナチュラルさだったり、声に強みを持つナレーターが圧倒的に有利になる。

 

 

時代もこうした個性や強みの際立つナレーションを求めているのだと思います。

 

 

 

ドキュメンタリーに至っては、声の低いよく通る男性が十数年前は主流でした。

今は女性が囁くような声が入っているドキュメンタリーをよくご覧になると思います。

 

 

僕がワークショップでよく言っているのは、「ナレーターが主役より前に出てはいけません」と。

これがドキュメンタリーのナレーションのコツです。

 

 

あくまでも主役は、その取材対象者である方。

 

 

ナレーションは語り部の役目でありますから、声が良すぎる。また強すぎてナレーションが前に出過ぎると、主役を殺してしまうことになってしまう。

 

 だからこうしたナレーターは今敬遠されているんだと僕は考えています。

 

 

今後のナレーション

  1. AI音声のナレーションが目立つようになりましたが、ナレーターはその座を奪われてしまうのでしょうか?

 

 

〈酒井監督〉

AIでもナレーションが入れられる時代になりました。

 

ナレーターにとっては今後ますます厳しい時代になってくると思います。

 

 

AIナレーションも、この2、3年の間で格段の進化を遂げていくと僕は考えています。

 

 

それでは、どうやったらナレーターがAIに勝っていけるのか?

 

 

人間にしか出せない情感。

 

ココロに響かせる技術。

 

 

これがないと、どんどんAIに座を奪われてしまうと僕は考えています。

 

 

言うは易しで、簡単なことではありませんが、僕もナレーションを教えている身として皆様にこれだけは伝えていきたい。

 

 

 

AIごときにナレーターは負けてはいけない。

 

 

 

ナレーターの皆様。そして今後ナレーションを心ざす皆様。

 

 

是非、人のココロに響くナレーション技術を身につけて、AIではなくナレーターが輝く新しい時代を作っていきましょう。

 

心より応援しています。

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