身近なカメラで誰でもできる!? タイムラプス講座!
2023.11.28 (Tue)
2023.11.28 (Tue)
高速で流れていく雲、夜空を動いていく満天の星、街中を勢いよく過ぎ去っていく人々…
テレビや映画で、このようなシーンを見たことはありませんでしょうか。
日常の風景では決して見られない
シーンなので、映像の中でこうした瞬間があると、ついつい惹き寄せられてしまいます。
(引用: https://www.aflo.com/ja/tempbox/detail/TEZVMGZOaERGZlBDVVkwTjJtOE1OUT09 )
こういった動画は、ただ単に通常の動画を早回ししているというわけではありません。
「タイムラプス」という技法で撮影し、ありふれた光景をダイナミックに映しているのです。
タイムラプスは、かつては専用機材で撮影・編集する必要がありました。
しかし現在では、iPhoneのような身近なカメラでも撮影が可能で、編集せずに動画として完成させることもできます。
誰でもタイムラプスを扱える時代となりました。
ただし、注意点をしっかり押さえて撮影しないと、おかしな動画に仕上がってしまう可能性があります。
今回はタイムラプスについて、撮影に必要なカメラから注意点まで、しっかりとご紹介します。
Contents
タイムラプス(Time-lapse)とは、数秒〜数分という一定の間隔で撮影した写真をつなぎ合わせて、1つの動画にする技法です。
「微速度撮影」「インターバル撮影」とも呼ばれます。
「time=時間」「Lapse=経過・推移」という意味からも分かるように、一定のポジションから撮影した「時間の経過・推移」を捉えた動画を指します。
タイムラプスでは、時間の経過に伴う雲や人々の移動を、短時間に収めることができます。
また、夜の街で車両が走っていく様子を撮影すれば、光り輝く幻想的な動画になります。
さらに、「太陽や星の動き」「植物の成長」といった、自然科学の研究でも活かされています。
通常のスピードではほとんど動き無くみえるこうした被写体が、タイムラプスの下では非常にダイナミックな動きを見せてくれます。
通常の動画を早回しした場合との大きな違いは、撮影したデータの容量です。
動画は写真と比べてデータ容量がとても大きく、長時間の撮影には向きません。
タイムラプスなら容量を抑えられるので、数時間〜数十時間、機材によっては何日にも渡る撮影が可能となります。
また、一般的に動画より写真の方が高解像度で撮影できるので、タイムラプスであれば普通の早回し動画より高解像度の動画が作成可能です。
現在、ほとんどのデジタルカメラにはタイムラプスモードが備わっています。
タイムラプスが搭載されていなくても、タイマー付きのレリーズ(遠隔でシャッターを切る装置)を使うことで、一定間隔で写真を撮影できます。
カメラはコンデジでも一眼レフ/ミラーレス一眼でも構いませんが、夜間の撮影には注意が必要です。
暗い環境のもと、光を取り込むためにカメラの感度を上げ過ぎると、ノイズが発生してしまいます。
「長時間露光(シャッターを切るスピードを下げ、光を取り込む時間を長くする)を使用する」
「コンデジの場合は一眼にも匹敵するような、最新の高性能なものにする」
といった対策が必要になります。
撮影後は、PC上で編集して一連の動画にする必要があります。
タイムラプス動画を作成できる編集ソフトを準備しておきましょう。
ちなみに今流行りのオールドコンデジですが、タイムラプス機能が搭載されていなかったり、後述のバッテリーの問題があったりもするので、残念ながらタイムラプスは難しいかもしれません。
最も身近なものでは、iPhoneをはじめとしたスマホでもタイムラプスの撮影が可能です。
スマホの場合は編集ソフトを使用せずに動画が出来上がるので、タイムラプスを作成する最も簡単な手段と言えます。
iPhoneの場合、iOS8からデフォルト機能としてカメラアプリにタイムラプスが搭載されています。
ただし、最終的な動画の長さが自動的に決められてしまいます。
1分の撮影時間なら再生時間が約4秒の動画に、10分なら約20秒、30分以上の場合はどれだけ長く撮影していても約30秒の動画にまとめられる、といった具合です。
自動調整のおかげで、iPhoneの標準カメラアプリならタイムラプスで失敗する可能性は低いです。
しかし、出来上がりの動画尺を自分で設定したい場合は、別のカメラアプリをインストールして使用しましょう。
Androidの場合は機種によりますが、タイムラプスを標準機能として備えているものもあります。
標準機能に入っていなくても、アプリでタイムラプスを楽しむことができます。
スマホの場合は撮影時点でタイムラプスが動画として出来上がっているので、編集ソフトを介す手間がかかりません。
「タイムラプスカメラ」という、タイムラプスの撮影に特化したカメラもあります。
防犯用のカメラとして実は昔から使われているのですが、風景や星空観察といった一般的な用途を得意としたタイムラプスカメラも販売されています。
機能をタイムラプスに絞ることで、省電力に優れているものが多いという特徴があります。
外部バッテリーを使用せずに、数日から、中には数十日にも渡って撮影できるカメラが発売されています。
防水機能を備えたものもあるので、余裕がある方は購入を検討してみても良いかもしれません。
また、人気小型カメラの「GoPro」もタイムラプス機能を搭載していますので、お持ちでしたらぜひ試してみてください。
タイムラプス搭載のカメラを持っていても、正しい方法で撮影しないと失敗してしまいます。
一眼カメラやスマホで撮影する場合は、以下の点に注意して撮影しましょう。
(タイムラプス専用のカメラであれば、深く考えずに撮影できるものもあります)
カメラ位置や画角を決めたら、三脚でしっかりと固定しましょう。
ブレたり画角が変わってしまうと、動画の出来が悪くなってしまいます。
長時間に渡る撮影ですので、突風や人の往来でカメラが倒れてしまうリスクを考慮する必要があります。
カメラの手ブレ補正機能はオフにします。
固定した状態で手ブレ補正がオンになっていると、返ってブレてしまう可能性があります。
タイムラプスでは、「インターバル=撮影間隔」を決める必要があります。
撮影間隔は、動きの速いものほど短めに、遅いものほど長めに設定するのが一般的です。
人や車が行き交う街並みであれば1〜3秒、太陽や雲などの自然風景であれば5~10秒、星であれば10〜30秒ほどが適しています。
編集後の動画尺も、撮影間隔を決める大事な要素です。
動画は基本的に、「1秒間に30枚」の静止画で構成されています。
(映画であれば1秒間に24枚が主流)
連続した静止画を高速で見せていくことによって、なめらかな動画として見えるようになります。
タイムラプスの場合でも同様で、なめらかな動きに見せるためには、完成した動画尺「1秒間あたり30枚」の写真が必要となります。
例として、30秒のタイムラプス動画を作るとしましょう。
この場合、「30枚×30秒」で900枚の写真が必要となります。
撮影間隔を5秒にした場合、「5秒×900枚=4500」で4500秒=75分の撮影時間がかかります。
「最終的に作りたい動画の尺から撮影間隔と撮影時間を計算する」あるいは「尺と撮影時間に合わせて撮影時間を計算する」といった作業を事前にしておきましょう。
カメラのオートフォーカスがオンになっていると、勝手に焦点が変わってしまう可能性があります。
そうなると不自然な動画が出来上がってしまいます。
オートフォーカスはオフにして撮影し、最後まで焦点が変わらないようにしましょう。
タイムラプスでは、通常の撮影よりもはるかに長い時間カメラを回し続けます。
画角が変わる恐れがあるため、途中でバッテリーを交換するというのも難しいかもしれません。
カメラやスマホのバッテリーがどれだけ持つか確認し、できればモバイルバッテリーのような外部バッテリーで給電した状態で撮影しましょう。
さらに、データ容量にも注意が必要です。
通常の動画より容量が小さいとはいえ、タイムラプスでは長時間に及ぶ撮影となります。
「気づいたら容量いっぱいで撮影が止まっていた」となってしまう可能性があります。
合計撮影枚数から必要なデータ容量を計算して、余裕を持たせておきましょう。
暑い環境・寒い環境への対策も必要です。
暑い環境では熱暴走によって撮影停止となる恐れがあり、寒い環境ではバッテリーの消耗がはやくなってしまいます。
暑さ対策として、まずは直射日光を避けるようにしましょう。
カメラを日陰に設置できない場合には、白いタオルを被せるなどして日光を避けます。
また、一眼の場合は液晶モニターを開いてカメラ本体から離すだけでも効果があります。
寒さ対策としては、カイロを使うという身近な方法があります。
タオルなどの布を使って、カイロがカメラ本体に直接触れない様にしつつ、上手く巻きつけましょう。
ケンコートキナー「次世代広角ズーム Tokina AT X 14-20 F2」
(動画中の9〜17秒のあたりで使用)
こちらは高性能レンズのプロモーション動画になります。
「雲の動き」「星空の輝き」「湖に立ち込める霧」をタイムラプスでダイナミックに映し、レンズの質の高さを効果的にアピールしています。
タイムラプスの撮影に、大掛かりな機材は必要ありません。
専用カメラを購入しなくても、一眼やスマホといった身近なカメラで撮影ができます。
しかし、注意点に気を配らないと、撮影が上手くいかないかもしれません。
三脚でしっかりと固定し、撮影間隔を適切に決め、バッテリーやデータ容量に注意する。
そうすれば、通常の撮影技法とは大きく異なるダイナミックな動画を、身近な機材で誰でも作ることができるでしょう。
まずはお手持ちのカメラやスマホを使って、ぜひタイムラプスにチャレンジしてみてください。
タイムラプスはそれだけでも特徴的な動画になりますが、映像中のワンシーンとして入れ込めば、視聴者をグッと惹きつけるのに役立ちます。
タイムラプスを効果的に活用した動画制作については、ぜひアーツテックにご相談ください。
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