映画風動画とは? プロのグレーディング術を紹介・カラーグレーディングを紹介!ー動画(映像)制作「ARTSTECH」(アーツテック)
2021.01.22 (Fri)
2021.01.22 (Fri)
「映画風動画とは? プロのグレーディング術を紹介!」
最近、SNSや動画サイトで、映画風にアレンジした動画を目にする機会が増えてきました。
出来栄えの良い映画風動画は高いセンスを感じさせますが、失敗するとバラエティ番組の再現映像のように、単なるチープな映像になりかねません。
映画風動画は非常に高いスキルを要する手法なのです。
今回は、映画風動画制作について深堀りしてみました。
Contents
最近、動画クリエイターと名乗っている方の中には、専門の訓練を受けていない方が制作していると思われる作品が多いように見受けられます。
雰囲気だけでなんとなく撮影して、欠点を編集で補う、といった作品が後を絶ちません。
映画風動画は、本物の映画では無いにしても、単に編集で何とかすれば良いというものではありません。
本物の技術に裏打ちされた制作手法や演出がなければ、単に見てくれだけの底の浅い作品になってしまうし、ましてや人の心をつかむことは難しいと思うのです。
映画風動画で大事になってくるのは、脚本・構成、演出、撮影、編集です。
(詳しくは「誰も知らない、誰も教えてくれない演出術」を御覧ください)
単に、上下を黒くしたら映画に見えるかというと大間違いです。
アプリケーション1発で、フィルム効果をかけるなど、もってのほか。
映画風を目指して失敗した動画ほど見ていて恥ずかしいものはないのです。
それでは、何を持って「映画」と言えるのか。映画風と言えるのか。
それを多角的に解説していきたいと思います。
現在はiPhoneに搭載されているようなカメラでも、解像度の点ではテレビ撮影用カメラに大きく近づいています。
しかし、ただテレビドラマっぽく撮れば映画風になるかというと。そうではありません。
映画は、その作品その作品を貫くビジュアルトーンが必ずあります。
これを専門用語で、「ルック」と言います。
映画は、全体を貫くルックが、いわゆる「フィルムルック」と呼ばれるものでなければなりません。
「フィルムルック」とは、テレビ的に見えるものよりも、現実感の無いトーンが多い。
映画を観る行為とは、「夢」を観る行為とも言えます。
浮き世を忘れるために、映画館で映画を観る方も多いので、現実感バリバリのルックでは、興ざめしてしまう。
フィルムルックは、現実的になりすぎてもいけないし、また、その作品のテイストにそぐうもの、また唯一無二のものでなければならないのです。
映画風、いわゆるフィルムルックな動画を作る際には、編集時にグレーディングという作業を行います。
写真で言うところの「レタッチ」です。
映画風に見えるようにするには、撮影した映像をシネマトーンという映画特有の色調に合わせて行かねばなりません。
そしてフィルムルックは、単にグレーディングで映像をフィルム風にするだけではなく、視聴者の心に訴えかける印象的なトーンを作り出すことが非常に重要です。
それは、撮影だったり、照明だったり、様々な仕掛け、演出で、このシネマトーンを形成していくのです。
決して、編集だけでできるものではありません。
シネマトーンについて理解して作業をしている人と、雰囲気でやっている人とは相当な差がついてくるのです。
映画風動画を作るために必要な点として以下のものがあります。
映画風動画を作るにはRAW撮影と呼ばれる方法が欠かせません。
RAWとは、すなわち「生」。
圧縮してないデータのことです。
RAW撮影をすると、当然、莫大なデータ量となりますが、明るさや色を幅広く記録することができるために、後処理の能力が大きく変わってくるのです。
RAW撮影は、明るい部分を飛ばすことなく、また暗い部分を沈ませること無く撮影することができます。
人物が影に覆われ、その後ろに青い空と白い雲が浮かんでいる情景があったとします。
通常、人物に露出を合わせると空はぶっ飛び、空に露出を合わせると、人物は真っ暗になってしまいます。
RAW撮影とグレーディングを行うことによって、空に浮かぶ雲のディテールをしっかり捉え、手前に移る人物も良いあんばいで見せることが可能となるのです。
fpsとは一秒間のコマ数です。一般的な動画の多くは30、もしくは60fpsのカメラで撮影されています。
映画はというと24fps。つまり、1秒間に24コマ。
コマ数が多いほうがなめらかな動画となりますが、映画と比較すると、どうしても現実的に見えてしまうのです。
映画は24コマ。これが鉄則です。
前述したようにカラーグレーディングとは、映像の色を調整する作業のことです。
一般的な動画は、撮影した時の色のまま使用されていますが、映画ではカラーグレーディング専門のスタッフが映像の色彩を調整しているのです。
この作業も、もちろん監督の意向に沿って色づくりを行います。
グレーディングは、DaVinci Resolveというソフトが有名です。
しかし、これも大変なスキルを要します。
DaVinci Resolveの専門書だけで、何十冊も出ているほどです。
見様見真似でいじっているうちに、なんとかなってしまったという使い方の人も多いのではないでしょうか。
色の原則から分かって使わないと、正確なグレーディングは非常に難しいと言えます。
グレーディングは、色を作るだけではありません。
ルック、すなわち作品の世界観も作り上げるわけです。
例えば銀残しと言われる手法。
黒を強調し、彩度を低めに。そしてコントラストを強めにして、フィルム感を出す手法です。
『セブン』や『ファイト・クラブ』といった映画で印象的に用いられていました。
シリアスな世界観にマッチするグレーディング手法であり、このルックを模倣した作品は山ほどあります。
このほかにも、ルックは数え切れないほどあるのです。
なぜなら、作品の数だけ、「ルック」が存在するから。
ただし、いくら優れたルックでも、それを使用する意図や演出が明確でないと、見ている人の心には響きません。
それは単なるひとつの技法にしか過ぎなくなってしまうのです。
映画、もしくは映画風の動画を作るデジタルカメラですが、以前は数千万も掛かる高価な機材でした。
現在ではフィルムルックを作り出す高性能カメラで、安価なモノも出ています。
しかし、いくら高性能の機材を揃えても、制作者のセンス、演出能力次第で、出来上がりに大きな差が出てきます。
繰り返しますが、映画風に作るということの真髄は、単なる映画の模倣ではなく、視聴者をその独自の世界に導き、心を動かすためにあるのだと思います。
以下の事例は弊社が映画風に制作したTV−CMです。
撮影機材はもちろんフィルムカメラ。
スタッフも、全て映画スタッフで揃えました。
特に、グレーディングにはこだわった作品です。
映画風動画は単に機材や編集の力だけではなく、当然ながら作り手、特に監督のセンスも問われます。
以下の動画はそれを高い水準でクリアしていると思います。
監督は、アーツテック代表の酒井靖之監督です。
以上のように、映画風動画には非常に高いスキルを要します。
単に雰囲気だけを映画風にしたところで、映画特有の美しさを表現することは難しいと思います。
映画風にするには、映画風にしなければならない理由があるはずです。
その目的を明確にして、緻密な脚本、撮影、演出を駆使して、オンリーワンの映像・動画を制作していく。
それが、アーツテック流の「映画風動画制作」です。
日本屈指のクリエイター、酒井靖之監督が
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売れる動画・映像制作のパイオニア