「動画制作会社で働く」のと「フリーランス動画クリエイター」どっちが良いの?
2024.06.14 (Fri)
2024.06.14 (Fri)
動画業界での働き方は昨今多様化しています。
それは、「動画」という媒体の多様化に比例したものとも言えるでしょう。
ビジネスにおける「動画」というものが、マスメディアを意味していた時代から、現在では、WEB・SNSなどさまざまなカタチで「動画」は作られています。
そんな中で、映像制作会社も年々増え続けています。
テレビのようなマスメディアを専門に扱う制作会社もあれば、AIで制作することに特化した制作会社もあり、幅が広がっているのがわかります。
こうした多様化に伴い、一概に「動画制作に携わりたい!」と思っても、具体的に何をしたいのか、何になりたいのかが分かっていなければ、働きにくい環境になっているように感じられます。
また、「監督」「ディレクター」「プロデューサー」「カメラマン」などなど、テレビ業界でよく聞かれる肩書きを複合して「動画クリエイター」と呼ばれる職業も生まれてきました。
こうした「動画クリエイター」に多いのが、フリーランスとして働く方です。
わかりやすい例として、YouTuberがそのひとつでしょう。
事務所に所属していたり、自身で法人化しているYouTuberの方もいらっしゃいますが、フリーランスで働き、撮影から編集まで行っている方もたくさんいらっしゃいます。
こうした柔軟な働き方をみていると、制作会社や技術会社に勤めて、ブラックな労働環境下で働くより、フリーランスとして働いたほうが良いのではと考える方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、映像業界における働き方についてお話ししていきます。
Contents
ここからは、私的な意見になってしまう部分があるかもしれませんが、参考程度に業界の内側の意見として聞いていただけたらと思います。
これから「学生」という肩書きを捨てて「社会人」という肩書きに乗り移ろうとしている方々。
結論からお伝えすると、映像業界で働きたいと考えているのであれば、ぜひフリーランスとして働くのではなく、まずは、どこかに勤めることをおすすめします。
それは、決して安定しているからなどという理由ではありません。
毎月お給料がいただけるとは言え、実際テレビ局に勤めていた友人は、何週間も家へ帰れず、1年で体調を崩し退職した人もいました。
それでも、どこかに勤めた方が良いと思う最大の理由はこれです。
人生の師匠に出会う。
これに尽きます。
いくら映像のことについて大学で散々勉強してきていても、それは映画評論が得意になった程度で、業界で働くことに精通しているとは言えません。
つまり、右も左もわからない状態で社会に出るということです。
そこですぐフリーランスとして働く選択をした場合、誰も何も教えてくれない。手探りで進む日々。それは成長の角度を最大化できる環境とは言えないでしょう。
自分が進むべき道を道標のように示し、常に前を歩いている背中の存在というのは、必ずあなたの成長スピードを加速させます。
また誰かに師事し、その道を駆けのぼるということは、誰でもできる経験ではありません。
酒井監督をはじめ、これまでお仕事させていただいたカメラマンさんなど、一流の方々の師匠の話を伺うとえげつないです。
一言で言えば「理不尽」なのかもしれません。
それでも必ずみてくれている人はいる。
そう信じて、突き進んでほしいです。
「この人についていきたい」そう思える方に出会うことは、簡単なことではありません。
やっとの想いで出会えても、毎日厳しい言葉をかけられるかもしれません。
「なんで俺ばっかり。わたしばっかり。」
「もっと優しい言葉選びしてくれても良いじゃん」
「もう絶対やめてやる」
と決してやけくそにならないように。人のせいにしないように。
初心にかえり、心を落ち着けて感謝するべき点を思い返してみてください。
「今日も一日、怪我なく事故なく終えることができました。ありがとうございます」
「右も左もわからない自分を雇って下さってありがとうございます」
「自分の時間を割いて、私に指導して下さってありがとうございます」
言葉にしなくても心で思うだけでも大丈夫。
それだけでもう一回頑張ろうと思えるようになりますから。
話が少し外れてしまいましたが、皆さんが想像するように映像業界は決して甘い業界ではないと思います。
厳しい言葉が飛び交うことも、徹夜で編集することもあるかもしれません。
それでも、誠実に取り組んだことは必ず身になって返ってきます。
業界のイメージに恐れず、一度興味を持った企業や組織に属するところからぜひはじめてほしいと思います。
私自身フリーランスとして働いたことはなく、そのような立場から語れることは、周囲のフリーランスとして活躍する方々の姿から感じたことや見聞きしたことだけになります。
しかし、アーツテックで働く上で一緒にお仕事させていただく方々は、皆さん一流でプロフェッショナルな方々です。
そんな方々の姿を通して感じたことなどをお伝えできたらと思います。
突然ですが、酒井監督がフリーランスとして働くことに対して、必ず言っている言葉があります。
それは、
「年間1,000万以上稼げたらフリーランス。それ以外はフリーターだ。」
なかなか辛辣な言葉かもしれませんが、その言葉で心が揺れている方々もたくさん見てきましたし、それほどの覚悟がいることだと私自身も感じています。
また、今業界の第一線で活躍されている方々は師匠のもとで、ある人は10年以上もアシスタントとして勤めあげ、結果「フリーでやってみないか」と言葉をかけられ現在に至るという方々が多数いらっしゃいます。
普段は人柄も良く、監督とは阿吽の呼吸で完璧に仕事をこなす。
そんな方々のここに至るまでの努力や過程は容易く想像できるものではないと思います。
ただ、そういう方々と肩を並べることが「フリーランス」として働くということだとわかった時、ただ「自分の好きなクリエーションができるから」「時間に融通がきくから」なんていう理由だけでフリーランスへの転向を決める人はいないのではと考えます。
酒井監督は、この業界で売れる、食べていけるということは、「自分の名前で食っていける人」のことを言うんだと常日頃から仰っています。
その自信と確固たる覚悟がついたときが、フリーランスとしての道へ一歩進むサインかもしれません。
会社勤めのお前が何偉そうなこと言ってるんだよと突っ込みたくなる内容かも知れませんが、もうしばらくお付き合いいただけたらと思います。
映像業界で働く上で、今回のテーマである、【「動画制作会社で働く」のと「フリーランス動画クリエイター」どっちが良いの?】について強く感じることがあります。
それは、結局はあくまでも肩書きにすぎないということです。
制作会社に勤めていても、フリーランスとして働いていても、働き方や環境の違い、それぞれ背負っているものは違うかもしれません。
しかし、私がクライアントならきっとこのように思う気がするのです。
制作会社でもフリーランスでもどちらでも良いけれど、「信頼できる方にお願いしたい」と。
会社員として働いていても、フリーランスとして働いていても、一番大切なことは、関わる方に信頼していただける仕事姿勢であることだと、日々の仕事を通じて感じています。
もちろんクオリティや価格など、実際の依頼に進んでいくと、様々検討事項はあるかと思いますが、それでも何よりも大切なことは、信頼関係の構築に他ならないでしょう。
「連絡のスピード」「締め切りを守る」そんな些細なことから信頼関係は構築されていくものだと思います。
たとえコミュニケーション能力が高く、人脈が広かったとしても、関わった方々へ敬意を払わず、時間を守れない、約束を守れないような方が真に信頼されることは難しいのではないでしょうか。
一方、コミュニケーションが苦手で不器用でも、常に相手に対して敬意を払い、約束はきちんと守る人の方が信頼したくなるのではないかと思います。
制作会社の一社員であっても、フリーランスの動画クリエイターであっても、大切にするべきことは何ひとつ変わらない。
それを真摯に受け止め、実践している方々こそ、フリーランスとして大活躍されている方々であると私は感じています。
記事冒頭でもお話しした通り、今の時代、一つの会社で新卒から定年まで勤め上げることだけが良しとされているわけではなく、場所やワークスタイル問わず、柔軟なカタチでの働き方が広く受け入れられている傾向にあると思います。
また、独立して働いている方々の発信力というのは凄まじく、しがらみがない故、SNS等を通じて常に自由に新しいカタチで発信しているように感じます。
そのため、そういったワークスタイルをSNS等を通じて知ることができる。
それにより、独立を考えている方も増えているのではないでしょうか。
フリーランスで働くということは、先に述べたような相当の覚悟や仕事を取り続ける力がないといけないと考えます。
しかし、仕事をする場所や時間に融通は効きやすく、企業という組織へのしがらみや不自由さはないというメリットがあるとも捉えられるでしょう。
逆に、社員として制作会社に勤めるということは、企業に帰属している上での一定のしがらみがあるかもしれませんが、一定の収入、福利厚生などの保障があり、時には大規模な案件に携わることができるというメリットも感じられるでしょう。
「その両方のメリットを満たしたい」という欲求が、フリーランスとして働くか、もしくは社員として働くかという悩みに繋がっているのではないでしょうか。
この論争の答えがあるとするならば、「人それぞれ」に帰着してしまうかも知れません。
一人ひとりが真剣に向き合い考え出した答えなら、それが10点でも100点でも答えなのだと私は思います。
どのような働き方であっても、映像制作に携わる方々の未来が明るいものでありますように。
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